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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第十二章 魔族の勇者たち最終進化へと

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第1話 追獄獣と指名手配犯

◆超進化スープ 具材リスト◆


①【追獄獣バルグルムの「執念の瞳」】◀(挑戦中)

②【四脚鎧蟲スパルディオ虫の「硬殻神経核」】

③【喰雷鳥クルバクの「放電羽」】

④【紅眼熊ルガンの「逆鱗」】

⑤【地裂魔牛ゴルマーダの「震脚蹄」】



「はぁーはぁーはぁー命からがら、なんとか倒せたなぁ……」


谷間に地響きが収まり、砂塵の中に巨大な魔獣の死体が横たわった。

追獄獣バルグルム赤黒く光る瞳と凶悪な牙を持つ、執念の魔獣だ。


その額に、一本の光の剣が深く突き刺さっていた。

ゴブリン騎士の姿をした男、まもるが、それを握ったまま膝をつく。


「くそ……重かった……」


周囲では、パーティーメンバーが次々と座り込み、息を整えている。

ダークエルフの狙撃手ティリス、火トロールのコニちゃん、魔術師のエミリー、そして回復役のデフリー。


「さぁ、料理の時間やで――!」


その声は、どこか嬉しそうに響いた。

回復専門のデフリーは、戦闘中ずっと岩陰で身を潜めていたため、体力満タンである。

(戦闘は不得意でも料理は得意それがデフリー)


「今日はなぁ、バルグルムのホワイトマスタードソース煮込みやで!

みんな、これ食べて元気出しぃや!あと4体もS級の魔物を倒さなきゃいけないんだからなぁ!」


「し、信じられん体力だわ……」

ティリスがゼェゼェ言いながら、エミリーの肩にもたれる。


コニちゃんは寝転びながら「おなかすいたー!」と連呼していた。


◆調理開始

デフリーは素早く食材の選別に取りかかる。

魔獣の目をくりぬき、「執念の瞳」として魔法保存容器に収めると、

肉の柔らかい部位を選び、湯通しして血抜き。


「大事なんは、ここやで。手間を惜しむな。料理は“敬意”やからな」


鉄鍋を取り出し、野草を刻んで油で香り立たせる。

次に白ワインを注ぎ、粒マスタードと山牛のミルクを加え、煮込みソースを完成させる。

最後にバルグルムの肉を厚切りにし、表面を焼いてからソースとともに煮込む。


香りが辺りに漂い始める。


「仕上げに、魔晶塩をひとつまみ……っと。はい、完成!」


鍋の中には、ほろりと崩れる柔らかさの肉と、香ばしくクリーミーなマスタードソース。


「料理は愛情。端正に、丁寧に、美味しくいただく。

それが戦士の礼儀やろ」


デフリーがいつものように、決め台詞を放つ。


「いっただきまーす!!」

コニちゃんが元気よく叫び、みんなも笑いながらスプーンを手に取った。



魔物の瞳バルグルムの《執念の瞳》。

それは超進化スープの具材、第一のキーアイテムだ。


あと4体。だが、ここで一息つける。


護は少し山を下り、人間の城壁の近くまでやって来た。

腰を下ろし、背中を壁に預けると、何気なく掲示板に目をやる。


そこにあった。


【指名手配通達】

 名:ミカヅキ・ユウト

 罪状:王国騎士殺害、王命への反抗、王都秩序の撹乱

 賞金:金貨3,000枚

 ※生死問わず


護は眉をひそめる。


「ミカヅキ・ユウト……この名前を、俺は知ってる。ゲームで何度も戦った相手だ。かなり強い。」


黒月の剣士ユウト

朧月ろうげつ》という呪われた黒刀を使い、

一瞬の光のような《月閃》、そして影の斬撃《影閃》を駆使する孤高の剣豪。


「対策……考えとかな。

たぶん味方にはならんやろ。むしろ、こっちが“狩られる”かもしれん」


護の目が鋭く光る。


「四人目。

孤高の剣士、“ユウト・ミカヅキ”。

剣の力だけを信じ、いかなる陣営にも属さず、ただ強者との死闘を求めて彷徨っている。

出会えば――君たちも、例外ではない」


護は魔王のことばを思い出していた。

静かに掲示板から目をそらし、護は立ち上がった。


風が吹く。超進化スープの旅は、まだ始まったばかりだった。


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