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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第十章 魔女の祠と古代魔女

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第4話 神を喰らう転生勇者

魔島ネパーアイランド。

崩壊した大地に、ただ一人立ち尽くす南城大我、勇者アレス。


「魔王倒したでぇー!やった。俺の勝ちや!」


魔王レグナ=ヴァル=ノクトとの死闘の末、黒煙の中で勝ち名乗りをあげ剣を掲げたその姿は、まさに“伝説の勇者”の姿であった。


「ふはっ……ようやく……これで全部終わり、か?」


しかし、彼は知っている。


終わりではない。

それは、始まりの音だった。


アレスは空を見上げ、嘲るように言い放つ。


「……出てこいや、“神”さんよ」


その瞬間、世界が静止した。

雨粒が宙に浮き、雷鳴がフレームごと凍りつく。


「それ」は、空の亀裂から降臨した。


挿絵(By みてみん)


コードと機械鎧をまとい、無表情の仮面を戴いた神。

名は――創造神セフィロス=コード


「……よくぞ、ここまで辿り着いたな。勇者、南城大我」


その声は機械と祈りの融合、無慈悲でいて神聖な音響。

アレスは、剣を肩に担いだまま、にやりと笑う。


「へっ、ようやく“黒幕”のお出ましかい」


しかし、神はアレスを責めなかった。

むしろ、その目は――讃えていた。


「見事だ、勇者アレス。南城大我。

お前こそが、私が待ち望んでいた“想定外の変数”」


神の言葉は、静かに、しかし熱を帯びていた。


「勇者が世界を救い、魔王を討つ……そんな“予定調和”を私は望んでいなかった。

私は、そういったストーリーに疑問を抱いていた人間だ。……この世界の開発者:今田敏夫として」


「俺の、前の世界での名前……聞いたことあるわ。お前……開発者の一人か」


「そうだ。だが、私は会議で敗れた。“王道”を強要された。

だからこの世界に“隠された可能性”を埋めたのだ。

3年後、自らの死をもって“バグ”を起動させ……転生者たちを送り込んだ」


「まるで……神様が世界の答え合わせをしてるみたいやな」


神は、わずかに仮面を傾けて微笑むように言った。


「その通り。だが……お前はその中で最も破壊的で、最も美しかった」


「え?」


「この“世界”を自分のものにしたいと願い、

定められた運命を破壊し、シナリオから逸脱し、神に届く者となった」


空が虹色のエネルギーに満ちる。

それは祝福の光――創造神の《称賛》だった。


「勇者アレス。私の望んだ通りの世界に、お前はこの世界を破壊し導いた」


「……へへ、やっぱ俺が主役やんけ」


「だが試練は終わらぬ。残された“五人の転生者”、最後の転生者、ユウト・ミカヅキ に会うのだ。

そして、お前がホブゴブリンの護を倒したとき、私は本当にお前に……“望む全て”を与えよう」


アレスの瞳が光る。


「楽しみやな、セフィロス=コード……いや、“今田敏夫”」


「その名を呼ぶのはお前が初めてだ。誇れ。

この世界を喰らい、神に挑む存在。 南城大我、勇者アレスよ」


アレスは剣を振りかざし、血と炎に染まった大地に一言だけ、宣言を刻む。


「ならこの先も、俺の物語で塗り替えたる。

あんたの創った物語すら、ぶっ壊してな!」


その瞬間だった――


胸に光の剣が刺さり倒れ伏していた魔王レグナ=ヴァル=ノクトの瞳がかすかに動き、かつての“仲間”を思い浮かべるように


微かに笑った。


まもる……あとは、お前に託す。この世界を」


その言葉は誰にも聞こえなかったかもしれない。

だが確かに、大地に残る最後の魔力の波動として、

魔族の希望の継承者に向かって伝わっていた。


そして物語は、もう一人の主人公へとホブゴブリンの護へと繋がっていく。


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