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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第八章 転生勇者と転生魔導将軍

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第2話 ネメシス=タワー潜入ルートの選択

魔導国家《ネメシス=ギア》の夜は、星も月も隠し、塔の頂から放たれる青白い魔力光だけが世界を照らしていた。


その中心にそびえるのは、黒き鉄の巨塔。

鋼の塔《ネメシス=タワー》。


挿絵(By みてみん)


天を貫くようなその存在は、まるで神の雷をこの地に繋ぎとめているかのようだった。

◆ネメシス=タワー 階層構造

第1〜10層:検問区画

自律型警備兵器・生体認証ゲートが常設。一般人立ち入り不可。


第11〜30層:魔導研究フロア

魔導技術研究室、戦術開発部、錬成炉区画など。

魔導炉心が各層に設置され、上層部へのエネルギーを供給している。


第31〜50層:軍事演算中枢

機甲部隊の展開管理、演算コア、無人戦術兵の保管エリア。

厳重な情報遮断と立体迷宮構造で保護されている。


第51〜70層:実戦戦力保管域

転生兵器や旧世界の魔導遺物の封印区画。

有機金属や呪詛兵器が並ぶ、死地とも言えるエリア。


第71〜98層:最高幹部フロア

魔導機甲将クロウ直属の機関室や謁見ホール、個人研究室など。


第99層:玉座層コア・アーク

クロウが居座る中枢支配座。

空間そのものが“転生者の意志”で制御されており、情報改変すら行われる。


浮遊塔とも揶揄されるこの《ネメシス=タワー》に、


勇者アレス

ダークエルフ ティリス

雷属性魔導士 ボルト

盗賊 ギリアム


勇者一行は挑もうとしていた。


「さすがに正面から行くんはアホのやることやな」


アレスが腕を組み、空間投影されたタワーの立体構造図を見上げながら呟いた。


「選択肢は3つっやすね」


盗賊ギリアムが指を立てて説明する。


ルート①地下排気ダクトルート(下層から侵入)

汚水と毒ガスを抜け、10階層までを潜行。

汚染魔導虫とガスフィルターの罠多数。


ルート②搬入用軌道ルート(中層から突入)

魔導機材と共に密輸ルートを通過。

検知防止魔法必須。途中で戦闘必至。


ルート③浮遊リフトルート(空中経由)

補給用空中リフトを制御し、70階層まで強行輸送。

一か八か。制御に失敗すれば墜落死。

軍用コード干渉と雷魔法による突破が求められる。


「どれも死地でやすな〜」

ギリアムが肩をすくめる。


「浮遊リフトは確率低いけど、一発でクロウのフロア近くまで行ける」

ボルトが低く言う。

彼の目に、失敗による死のイメージはない。常に最短を狙う男だ。


「――せやな。どうせ命張るなら、最短がええ」

アレスが唸るように言った。


「浮遊リフトの位置、解析してちょと相談しに3人でタワー調査に行ってくるわ」

そうティリス言い残して、アレスたちは都市の闇に消えた。



その頃――


《ネメシス=タワー》99階、《コア・アーク》にて。


鋼鉄の玉座に腰かけるひとりの男が、静かに笑った。


魔導機甲将クロウ・サカキバラ。

元・eスポーツ世界ランキング5位に入り、日本代表に選出された転生者。

この世界の物理法則すら、コードと魔術で再構築する狂気の支配者。


「勇者アレス。やっぱり、お前は“そっち”を選ぶか」


浮かび上がる浮遊リフトの映像。

そこには、起動と同時に展開される魔導トラップの数々。


「雷と干渉の二重鍵が必要なことくらい、奴はもう気づいとるやろ……だが」

「そこまでが私の“誘導”。さあ、コード解析の地獄で踊れ」


その指が、空間に浮かぶ“塔の構造図”をなぞる。

塔は生きている。意思を持つ魔術式だ。

勇者アレスたちが動くほどに、クロウの術中へと誘い込まれていくのだった。

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