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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第八章 転生勇者と転生魔導将軍

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第1話 転生勇者や闇ギルドで仲間を雇う

魔導国家《ネメシス=ギア》。

鋼鉄と雷、そして人間の欲望が渦巻く都市。勇者アレスと、その隣を歩く女性ティルスは、都市の外郭ゲートをくぐった。


ティルス。ダークエルフの女魔法戦士。

しなやかな肢体に金の髪、瞳は艶やかな紅。だが、その手首には魔法封印付きの手錠が嵌められ、アレスの腰に繋がれた黒鉄の鎖でつながれていた。


周囲の目は冷たい。

この都市では、“異種族奴隷”は珍しくない。誰も彼女を仲間とは思わない。ただの“所有物”としか見ない。ティルス自身も、ただ、静かに歩く。


「……やっぱり、あいつが動いとるな」

アレスは鋼の塔《ネメシス=タワー》を見上げた。


魔導機甲将クロウ( 転生者)。

自身に差し向けられた暗殺者たちの動きを読み、アレスは決断する。


「やられる前にやる。それが、オレのルールや」


都市の片隅、薄暗い路地裏にある場末の酒場スクラップノート

中は騒がしく、傭兵、犯罪者、スパイ、娼婦、そして闇の住人たちが交差している。


アレスはカウンター席でひとりの男を待っていた。


「お久しぶりだね、“転生勇者”さん」


くぐもった声が隣から聞こえる。

フードを深く被った痩せた男――闇ギルド《ドレッドバインド》の仲介人ギルが、すでに隣の席に座っていた。


アレスは酒を頼むこともせずに言った。


「クロウ・サカキバラを殺したいんや。そのために、腕の立つヤツが要る」


「随分とストレートで助かるよ。でもその前に……」


ギルはティルスに目をやり、ニヤリと笑う。


「いい女だな。そのダークエルフ。高く売れる。商品として登録する気はないかい?」


ティルスの肩がわずかに震えた。

だが口は開かない。奴隷には、反論の権利すらない。


アレスの目がギルを貫いた。


「売る気はない。こいつは……オレの道具や。戦わせる」


ギルが目を細める。


「ふぅん……魔法封印手錠のままで? 爆発魔術でも使えるのか?」


「必要になったら封印は外す。逃げたら……その時は、殺すだけや」


ティルスの目が一瞬だけ冷たく、アレスを見た。

ギルは肩をすくめ、口笛を吹いた。


「いいさ。物騒な連中は慣れてる。じゃ、紹介しようか。電撃魔術師と、コード干渉に強い盗賊をお望みだったな?」


●雷属性魔導士 ボルト

目に十字の刺し傷を持つ、無言の男が歩み寄る。

右目は義眼、左目は殺気を帯びて冷たい。


「ロボットどもを焼き切るのは得意だ。条件次第で、命預けてやる」


手にした導雷杖には、刻まれた魔術回路と血のにじむような符術。

彼は元犯罪者。機械系の魔導兵を狩ってきた、電撃魔法の異端者だ。


その一言で、アレスは採用を決めた。


●盗賊 ギリアム

黒いフードにゴーグルをつけた男が、くるりと宙返りして登場。


「どーもでやす〜! 隠密、侵入、コード干渉はギリアムにお任せでやすよ!」


「お前……喋りすぎだ」


「すんませんでやす!」


仲間が揃ったその時、ティルスの鎖が再び小さく鳴った。

彼女は何も言わず、ただその場に静かに立っていた。


アレスは立ち上がり、静かに言った。


「行くぞ。《ネメシス=タワー》や。クロウ、ぶっ潰したる」


ティルスは従うように、その鎖のまま歩き出す。

だがその瞳だけは、何かを見据えていた。



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