第6話 対決レインボードラゴン
巨大なレインボードラゴンが俺たちの前に 現れた。
「グォォォォォォォオオオオオオオアアアアアアアアアアアアッ!!」
地鳴りのような咆哮が、空と大地を震わせる。
《レインボードラゴン》が、その巨体をうねらせて翼を広げた。空に虹がかかり、魔力が放射状に拡散する。
「来るぞッ!」
エイミーが魔力を凝縮し、水魔法の《アクアジャベリン》を展開。
俺(護)は杖を構え、大地の力を溜める。
コニちゃんは炎の身体に纏い、戦闘態勢。
……しかし、次の瞬間、ドラゴンの目が光った。
「ん……? おい、なんかヤバいぞ……」
デフリーがぽつりとつぶやく。
その目の前、虹色の竜が口を大きく開けて突進してきた。
「グルァァァアアアアアアアア!!!」
「う、うわああああああああああっ!?!?
な、なんで俺だけ狙われとんねぇぇぇぇぇん!!?」
デフリー、まさかの標的。
「えっ……豚だと思われてない?」
コニちゃんがぽつり。
「誰がッ!!!!! 豚やッ!!!!!って誉め言葉かーい!」
オーク族は豚は神聖な生き物なのだ。
しかし竜は容赦なくデフリーを追いかける。
尻尾を避け、ブレスを避け、必死で逃げ惑うデフリー!
「ちょっ、誰かタスケテエエエエエッ!!!」
「……いや逆に、これチャンスじゃない?」
エイミーが冷静に分析する。
「なるほどな……デフリーが囮になってくれてるってことだ!」
俺が頷く。
レインボードラゴンの鱗が、蒼く染まり始める《水属性》。
「次は火が来る!その瞬間に“水の残滓”が残る!」
「任せて!」
エイミーが《アクアジャベリン》を放つ!
——ズガァァァァァァァンッ!!!
レインボードラゴンの肩に一閃。蒼い爆発が起こり、竜が悲鳴をあげた!
「効いたっ!! 弱点、突けてる!」
さらに鱗が赤く染まり、《火属性》に移行……その次は地。
「次は風になる!火の残滓があるってことは……」
「わたしの出番ねっ!」
コニちゃんが両手に炎を集中させる。
「《バーニング・スカーレット》!」
——ドガァァァァァァァァンッ!!
直撃。竜の翼の膜が焼け、バランスが崩れる!
レインボードラゴンは吠え、雷光を纏いながら空へ浮かび上がる。
「雷の次は……光、闇……ぐるっと回ってまた雷!」
「じゃあ今は、闇の残滓があるな!」
「行くぞ、俺が決める!」
俺は大地の魔力を集中し、大きく叫んだ。
「《グラビトン・スパイク》!!!」
地面がうねり、竜の脚を捕らえた。次の瞬間、地の魔力が爆発!
竜の巨体がよろめき、ついに崩れ落ちる!
「今だっ!! デフリー、最後決めろっ!!」
「……豚じゃないってとこ、見せたるわ……ッ!!」
デフリーは跳ね上がり、空中でフライパンに雷魔法を纏わせる。
「《カミナリ玉子焼き・超級!!》」
バシュゥゥゥゥゥン!!!!!
雷の炸裂とともに、フライパンが竜の頭にクリーンヒット!
レインボードラゴンが、崩れ落ちた。
沈黙。山頂に風が吹く。
「……倒した、のか?」
「……勝った……」
俺たちは、呆然と立ち尽くす。
デフリーだけが膝に手をついて、息を切らしながら言った。
「……こ、これで……豚じゃないって……証明できたよな……?」
その時、コニちゃんがぽつり。
「うん……でも、火で焼けた時にちょっと美味しそうな匂いした……」
「やっぱり豚やと思われとるやないかーーーっ!!!」
山頂に、オーク族のデフリーの叫びが響いた。




