第5話 レインボードラゴン観察の発表と逆転の鍵
「いや……今の傭兵団の戦いで、確信した」
傭兵団が全滅したあの戦い。その間ずっと、俺の目は竜の魔力の揺らぎを見逃さなかった。
「レインボードラゴンは……《属性変化型》だ」
「属性変化型?」
コニちゃんが首を傾げる。
俺は頷き、スケッチブックを広げて地面に属性の輪を描く。
「一つの属性を纏ったまま戦ってるわけじゃない。絶えず属性を変化させてる。しかも」
そこに、輪を描くように矢印を引いていく。
▼《属性変化の法則》▼
火→水に弱い 火→地に強い
地 →火に弱い 地→風に強い
風 → 地に弱い 風→水に強い
水 → 風に弱い 水→火に強い
光 → 闇 → 雷 → 光
「属性が変化する“瞬間”だけ、体内に前の属性の《残滓》が残る。
その時に“逆属性”で攻撃すれば……効くんだ」
「なるほど……! だから傭兵たちの攻撃が途中で通じなくなって、連携が崩れたのね」
エイミーが鋭く頷く。
「おおおっ!? やっと俺の出番か!」
デフリーが持っていたフライパンをぶんぶん振りながらはしゃぐ。
俺たちのパーティは、この通り。
パーティ編成と属性
エイミー:水属性魔法(→火に強い)
コニちゃん:火属性魔法(地に強い)
護(俺):地属性魔法(風に強い)
デフリー:回復・補助特化
「つまり、あいつが属性を切り替える瞬間を見極めて、一つ前の属性の逆を突く。
タイミングが合えば、強烈なダメージを叩き込める」
「でも……それって、運もあるんじゃない?」
コニちゃんが不安げに言う。
「その通り。7属性のうち、逆属性で突けるのは最大で3つ。
つまり7分の3の確率で弱点を突ける」
「でも今の私たちには、デフリーの補助もあるし、弱点を突くまで耐えられる」
エイミーが笑みを浮かべる。
「勝てるチャンスがあるってことよ」
俺たちは視線を合わせた。
「行くぞ。準備は整った」
俺は立ち上がり、背負っていた杖を握り直す。
《彩光の霊峰》の頂上へと、一歩ずつ踏み出す。
そして、そこには
七色のオーラを纏い、空と大地を統べる神話の支配者。
《レインボードラゴン》が、全てを見下ろしていた。
しかし、今度は違う。
俺たちは、逃げない。
「勝つぞ」
俺は空を仰ぎ、呟いた。
「あいつを、神話から引きずり下ろす!」
レンボードラゴンを倒して進化する。俺たちは闘いの前夜に鼓舞しあった。




