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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第七章 レインボードラゴンとホブゴブリン

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第4話 レインボードラゴンの弱点観察日記

《彩光の霊峰》にて、俺たちは山頂から潜伏生活を送っていた。

目的はただ一つ伝説の竜、レインボードラゴンの行動パターンを観察すること。


森の中に隠れた岩穴。昼間は霧に紛れて岩肌をよじ登り、夜には《ボウエン》で竜の姿を覗き見る。


エイミーの蛇眼レンズ水魔法ボウエンが描き出すのは、まるで異世界のような情景だった。

虹色の鱗をもつ巨大な竜は、空を渡り、湖を飲み、雷を吸い、光を吐き出す。

生き物というより、自然現象が意思を持って動いているような……そんな存在だった。


「一日三回、羽ばたくな……」


「あと、夜には決まってあの湖に向かうのね。魔力の充填かしら」


俺とエイミーは、魔法の記録石に観察記録を残していく。

フライパン片手に「飯炊き観察員」としてついてきたデフリーは、竜のうなり声が響くたびにビクビクしていた。


そして観察を始めて、七日目の朝。


それは突然、霧の中から姿を現した。


「ん……何か来てる」

エイミーが《ボウエン》の視界をぐっと引く。


岩場の斜面を、重装の集団が列をなして登っていた。


「人間……?」

コニちゃんが声をひそめる。


だがその装備、そして動きは明らかに一般の登山者ではなかった。


全員が黒装束の軽装兵と重装歩兵に分かれ、魔法障壁と探知無効のバリアを張りながら進軍している。


「傭兵団……しかもただの傭兵じゃない。こいつら、レインボードラゴンを狩りに来てる」


まさかこの山に他の狙い手が現れるとは思っていなかった。

だが今、目の前でそれは現実になっていた。


俺たちは岩穴に身を潜め、《ボウエン》を通してその動きを見守る。


そして――


その時は来た。


雲が裂け、虹色の光が差し込む。


天から舞い降りるように、レインボードラゴンが姿を現した。


全長数十メートル。

巨大な翼は空気を震わせ、鱗の一枚一枚が虹のように色を変える。

ただ「在る」だけで、地形すら従わせるような圧倒的存在感。


だが、傭兵団は怯まなかった。


陣形を組み、一斉射撃を開始する。

魔導砲が火を噴き、雷撃が空を貫き、爆炎が竜の胴体に炸裂する。


咆哮とともに、レインボードラゴンは反撃した。


風と水の混合魔法、黒雷の柱、光の乱反射による焼灼。

次々と傭兵団の攻撃を飲み込み、返し、圧倒する。


岩肌が砕け、木々が吹き飛び、空が燃える。


「……強すぎる……」

誰かが呟いた。


数分後の戦場には、ただ焼け焦げた地面と、動かぬ人の残骸だけが残った。


傭兵団は、全滅をしていた。


だが、俺は……その時。


「……ん?」


レインボードラゴンの身体を、何かが走った。

鱗の一部がわずかに“薄く”なったように見えたのだ。

しかも、それはある特定の魔法のあとに起こった。


「……まさか、あれは……」


俺は、メモ帳に震える指で観察記録を書き付けながら、目を見開いた。


何かが、見えた。

このドラゴンに、“スキ”弱点がある……!?


「……!」


だが、まだ確証はない。

みんなに伝えるには、もう少しだけ……見なきゃならない。

俺は、次の変化を逃すまいと、水のレンズを握りしめた。


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