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第3話 魔王の招待

復活の村エルシア。

かつて、伝説の勇者アレスが魔王軍を退け、一度は平和をもたらしたとされる村。


だが現在は焼け落ちた町、滅んでいた。


黒煙と灰が舞うその跡地に、ホブゴブリンのまもるは仲間たちと立っていた。


「……ここは、エルシア 勇者アレスが救った町だったはず」


無残に崩れた町に村人たちの姿は、もはやない。

そこには、モンスターに襲われ、跡形もなく消された文明の骸があるだけだった。


「これは……?」


焼け落ちた町・エルシアの跡地に、黒い炎のような文様が刻まれた一枚の書状が、突如として空から降ってきた。ティリスがそれを拾い上げ、眉をひそめる。


===========================================


『護殿へ』

君たちは“進化”できる。

レンボードラゴンの肉を喰らえば、魂は再構築され、力は解放されるだろう。

来たれ、魔王の間へ。

魔王レグナ=ヴェルザークより


=========================================


「……魔王様からの招待状よ」


「えぇっ!? ま、まさか魔王って、あの……」

デフリーが声を上ずらせた。


「そう、魔王レグナ=ヴァル=ノクト。この世界の頂点に立つ存在よ」


「な、なんでそんなヤツが俺を招待するんだよ……」

護が眉をしかめると、ティリスは静かに口を開いた。


「実は……私、昔、一度だけ魔王様に会ったことがあるの」

その言葉に、空気が凍りついた。


「えっ……ティリスさんって、魔王と知り合いだったの!?」

エイミーが目を丸くする。


「すっごい……すごすぎる……」


コニーちゃんが尊敬のまなざしティリス見つめる。


デフリーも感心しきりで、「すげぇ……俺、初めて生で“伝説”に触れたわ……」と感嘆の声を上げる。


ティリスは照れくさそうに視線をそらしたが、やがて真剣な顔で言った。


「これは偶然じゃない。護、あなたを魔王様は見ている。この世界を変える存在として」


その瞬間、ティリスの杖が魔力で光り始めた。


「……この招待状は護宛て、未来への希望よ。さあ、行くわよ。覚悟はできてる?」


護は一瞬黙ったあと、頷いた。


「行くぜ。どうせこのままじゃ何も変わらねえ」


「トゥーラ・エルヴァ・ノクス…

星の彼方、道を開け…

我が意に応えよ――移転の門よ!」


その詠唱と共に、空間がきしむ。


裂けるように宙が割れ、渦巻く魔法陣が護の足元に浮かび上がった!


「魔王にちょっくら、逢ってくるぜ。」


ティリスの瞳が金色に輝き、叫ぶように呪文の名を放つ。


「《エクソダス・ゲイト》!!」


轟音と共に、護の体が光に包まれる。

地面が砕け、眩い閃光が全てを飲み込んだ。

護の絶叫が、空に吸い込まれるように消えていく。


彼の姿は、跡形もなく消えていた。

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