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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第四章 転生者同士の対決

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第4話 転生勇者 VS 転生ホブゴブリン

ゴブリンの玉座の間。

静寂のなかに、足音がひとつ―


アレスがゆっくりと前に出て護を見下ろした。


「……ああ、なるほどな。お前が“護”か。見た目でわかるわ。ハズレやな。転生した先がホブゴブリン?ウケるな」


護は無言でアレスを見返す。


「そっちが“転生者”ってのはわかったけどなぁ……その姿じゃ、全然ワクワクせんわ。さっさと殺して、楽にしてやるさかいな。どうせ苦しむんやろ、なあ?」


嘲笑混じりの声に、リュミナがうんざりしたように肩をすくめる。


「……悪趣味ね、ほんとに」


護が、一歩踏み出す。


「俺は……この世界で、命をもらった。この命で、仲間と出会い、共に生きてきた。そして、守るべき誇りを得た」


低く、熱のこもった声。周囲の魔族たちが静まり返る。


「命・仲間・誇り。俺が戦う理由だ。お前には、ないものだろうな」


アレスは目を細め、鼻で笑った。


「はあ? 命? 仲間? 誇り? それ、なんのスキルでもねえやん。

俺はな、“効率”と“クリア”と“快楽”で動いてる。

この世界はゲームや。邪魔なNPCは削除して、経験値だけもらえばええんや」


そして、アレスが手を掲げた。


「リュミナ、始めようか。こいつら、めんどくせぇから全員まとめて押し流してしまいな。」


リュミナが冷ややかな表情で詠唱を開始する。


「静寂に眠る深海の力よ、怒涛の牙となりて我が敵を穿て。

凍てつく憎悪は渦となり、煮え滾る憤怒は熱を纏う。

飲み干せ、大地を、空を、魂ごと。

来たれ

《アクア・インフェルノ》


轟音と共に、大量の高圧水柱が魔族たちに襲いかかった!

炎を打ち消し、床をえぐる嵐のような水撃――!


「ぐっ、クッ……!?」

「罠が……流された!?」


リザートマンのエミリーとトロールのコニが、とっさに回避行動をとる。


だが護は、仲間の前に立ちはだかり、その小さな身体で水流を受け止める!


「みんな、下がれ!俺が前を守る!」


ドォンッ!


その身体が壁に叩きつけられ、血が滲む。それでも護は立ち上がる。


「……仲間は、絶対に仲間を死なせない!」


リュミナが驚いたように呟く。


「……あんなの、生身で受けて立ち上がるなんて……」


アレスはニヤついたまま剣を構える。


「ハハッ、いいやん、いいやん!やっぱボス戦はこうでなくっちゃ!

でもよ、どんだけ仲間を守っても、痛ぇのはお前やんけ?」


「……それでもいい。痛みも、恐怖も、全部受け止めて生きてやる!」


次第に、戦場は混迷を極めていく。


アレスの嘲笑と狂気。護の必死の抵抗。そして、仲間たちの胸に芽生える“疑念”と“尊敬”。


ダークエルフのティリスは、物陰からその様子を見つめながら、呟いた。


(この戦いの本当の“勇者”って……)


ティリスは、背後の闇の中でひとり、震える心を押さえきれずにいた。


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