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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第四章 転生者同士の対決

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第2話 転生勇者 トロール族のボスと対決

火山ダンジョン最奥部


無数の骨と破れた布地が床を覆い、壁には古びたトロール語の碑文が刻まれている。


その奥に湿気と血の匂いが充満する広間の中央に、全身を鎧のような筋肉で覆った巨体が立ちはだかる。


圧倒的な威圧感を放つ巨体 トロールキング。彼はコニちゃんのお兄さんである。


その背には無数の戦斧の傷跡が走り、まるで古の戦士のような威厳を放っていた。


アレスが笑いながら剣を振る。


「おーん? この奥にいたのは……おまえがボスかいな?」


トロールキングの赤黒い眼がアレスを睨む。


「お前が……アレス……“光と雷の槍の人間”か……」


「よう知っとるやん? 名が売れてきたかなぁ?」


トロールキングは唸るように低い声を漏らした。


「……“まもる”が言っていた。いずれ、人間の破壊者が現れると……貴様のことか」


アレスの笑みがピクリと歪む。


「またその名前か……護、護って最近よぉ聞くな。リザートマンとオークのボスも死ぬときに言うとったわ……」


トロールキングの表情が苦しげに歪む。


「護は……“人間”だった。お前と同じ……“転生者”だ」


「……なに?」


アレスの表情が凍り、次の瞬間、感情が爆発したように笑い出した。


「っははははははははっ!! マジかいな! 俺だけやなかったんや! ってことは他に仰山もおるんか? まだどっかに隠れとるんか!?」


「貴様……何が可笑しい……!」


アレスの目は血走っていた。


「最高や!! 俺と同じ“転生者”どもを、一人ずつ見つけ出してぶっ殺して……どんな顔するか、この目で見たいんや……」


彼のその異様な興奮を見て、リュミナが眉をひそめる。


「……悪趣味。最低ね」


アレスはそれに気づかず、剣をギラつかせながら突進した。


「さぁ……テメェは何発ぶち込んだら沈むんか、試したるわッ!!!」


戦闘開始。


トロールキングはその巨腕を振り上げ、地面を砕くほどの衝撃波で迎撃するが、アレスは跳躍して空中から雷槍を投擲!


「“ライトニング・ランサー”!!」


槍が雷鳴と共に命中し、トロールキングの胸に大穴を穿つ!


「ぐぬうおおおおおおお!!!」


だが巨体は崩れない。すかさずトロールキングが自らの血を魔力に変換し、空中に無数の火球を展開。


「“炎塊魔弾えんかいまだん”――全放出ッ!!」


リュミナが静かに詠唱を始める。


「水天の祝福を受けし我が水の精霊よ、清き流れとなりて万象を貫かん。現れよ、

《アクア・ジャベリン・フォール》」


水の槍が天井から降り注ぎ、火球を消し去る。


ズドォン!!!


爆発と水柱が交錯し、炎と蒸気が広間を覆う。


視界が晴れたとき、トロールキングは片膝をつき、荒い息を漏らしていた。


アレスがとどめを刺すべく歩み寄る。


「護とやらも、お前みたいな顔して死ぬんか……楽しみやなぁ

……死ね……」


光の剣が振り下ろされ、トロールキングの命は絶えた。


リュミナが背後から冷ややかに言い放つ。


「……あなたみたいな人間、いつか本当に“死ぬ側”になるわよ」


アレスはその言葉に振り返りもせず、血の付いた剣を軽く振って言った。


「その時までに……何人転生者をぶっ殺せるか、楽しみやろ?」


深まる狂気と、ゆがんだ快楽

この世界に“転生勇者”アレスの悪名は、確実に刻まれ始めていた。



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