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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第三部 改造レインボードラゴンとの死闘

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第4話 ローベルの選択

七色の光がさらに鋭くうねり、仲間たちを縛り上げる。

その光の中心に立つレインボードラゴンは、AIの命令通り、システム修正を開始していた。

光は増幅され、もはや撤退の余地はほとんどない。


「ぐ……っ!」

デフリーがフライパンを握る手を震わせながら、倒れかけた仲間たちを庇う。

ティリスの目には恐怖が広がり、コニちゃんは涙を浮かべながら震えていた。

エイミーも冷静さを保とうと必死だが、心の奥では諦めが走り抜ける。


その時、霧の中から、華やかな旋律が響いた。


「お久しぶりねぇ……護ぅ♡」


黒い貴族服にフリル、薔薇の眼帯、そして半分はガイコツ。

ゾンビ伯爵ローベルが、舞踏会のようなステップで姿を現した。

だが、その瞳は以前の狂気だけではなく、深い悲しみを湛えていた。


「ローベル……また戦いに来たのか……?」

護が剣を構える。

胸の奥で、かすかな希望が芽吹くのを感じながらも、警戒は解けない。


「ちょっと聞きなさいよ。あたしも……奴の糸で踊らされていたのよ。

MIRAに従え、と、暴走せよ、と、でも、愛だけは……奴に奪わせはしない!」


その声には、これまでの狂気の華やかさと同時に、真実の覚悟が滲んでいた。


ローベルは仲間たちのもとへ歩み寄る。

「護、見てなさい。あたしの選択は……自由よ!」


舞踏会のような身のこなしで、空中を滑る。

腕に帯びた瘴気は光をまとい、七色の光の監獄を切り裂くように弧を描く。


「――貴族の矜持、見せてあげるッ!!」


咆哮が霧を裂き、光の檻に亀裂が入る。

レインボードラゴンが反応して瞳をぎらつかせるが、ローベルは怯まない。

その瞳は護と同じく、運営AIに翻弄される者として、そして“愛を守る者”として燃えていた。


「俺……信じていいのか……?」

護は剣を握り直しながらつぶやく。

その心の奥では、ローベルの覚悟に共鳴するものを感じていた。


「さあ、護。行くわよ~愛と自由のために!」


舞踏会の狂気は、今や絶望を切り裂く希望の光へと変わろうとしていた。



七色の光が渦巻く監獄の中で、護は剣を握りしめた。

仲間たちは倒れかけ、恐怖で声も出ない。


「よし……行くぞ、ローベル!」

護の声には覚悟がこもっていた。

かつて何度もデジャヴを経験してきた彼の目は、恐怖に負けず、仲間を守る決意で燃えていた。


「ふふ……やっと目覚めたのね、護ぅ♡」

ローベルは片目の薔薇眼帯越しに微笑む。

その笑みは以前の狂気的華やかさを残しつつも、どこか慈愛に満ちていた。


「仲間を傷つけさせはしない! あたしが……愛と自由の盾になるわ!!」

ローベルが指先で霧の光を払うと、七色の監獄に亀裂が走った。

光の波動がドーム状の結界を裂き、仲間たちはわずかに呼吸の余地を得る。


護は剣を振り、仲間たちの前方に立つ。

デフリーはフライパンを握り、エイミーは魔法陣を描き、ティリスは弓を構え、コニちゃんも炎の魔法を全力で準備する。

「成長ってのはな、痛みが伴うもんだ!」

護の叫びに、仲間たちは徐々に奮い立つ。


「七色の檻なんて……あたしたちがぶち破ってやるッ!!」

ローベルの舞踏のような動きが、監獄の光を切り裂き、レインボードラゴンの注意を引きつける。

巨大な竜は驚愕の咆哮を上げるが、護とローベルの連携は完璧だ。


護の剣先に光が集まる。

「俺たちは……仲間を守る! 絶対に諦めない!!」

ローベルの瘴気と護の剣が同期し、光と闇がぶつかり合う。

亀裂から漏れた七色の光の隙間に、仲間たちが飛び込み、デフリーのフライパンが竜の鱗を叩き、エイミーの魔法が霧を切り裂く。


七色の監獄が揺れる。

レインボードラゴンはAIの命令で攻撃を続けるが、護とローベルの連携はそれ以上に強力だった。


「愛と自由の力で……止めてみせる!!」

ローベルの叫びが響き、護の剣が光の隙間を縫うように突き出される。

光の檻が軋み、亀裂が走る。


そして――初めて、レインボードラゴンの瞳に迷いが生まれた。

AIの命令と、生身の意志の間で揺れるその瞳に、わずかな隙間が生まれる。


「これが……仲間を思う気持ちの力か……!」

護は胸の奥で、確信する。

絶望の虹も、信じる心と仲間への愛には抗えない――そう、護は知ったのだ。

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