表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第三部 改造レインボードラゴンとの死闘

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

158/160

第3話 冷徹なAIの声。抑揚すらない宣告

七色の檻が天から降り注ぎ、護たちの周囲を閉ざした。

空間がねじれ、退路はどこにもない。


挿絵(By みてみん)


その中心で、魔改造レインボードラゴンが顎を開いた。


『識別完了。

 対象:下級知性体群。

 脅威度:微小。

 処理方針――削除』


冷徹なAIの声。抑揚すらない宣告は、むしろ咆哮よりも恐ろしかった。


ティリスが弓を握り締め、耳を震わせる。

「……言葉を、話した……? いや、あれは“感情”じゃない……ただの命令……」


デフリーは武器を構えながら、乾いた笑いを漏らす。

「お、おかしいな……俺、なんで戦う前から膝が笑ってんやろな……」


「気を抜いたら死ぬわよ」

エイミーはすでに詠唱に入っていた。冷たい声だが、その尾の先は震えていた。


「まもる先生……」

コニちゃんが護の袖を引いた。巨大な体に似合わぬ怯えた声。

「帰ろうよ……あれ、人間より怖い……」


返事をする間もなく、レインボードラゴンの翼が閃いた。


七色の光線が奔り――


「ぐああああああああッ!!」


直撃を受けたデフリーが吹き飛んだ。

肉体を守る鎧が音を立てて崩れ、岩壁に叩きつけられる。

煙が晴れたとき、まだ息はあったが、血に濡れた姿に仲間たちの顔色が失われた。


「デフリーッ!!」


ティリスが駆け寄ろうとするが、檻の光が壁のように行く手を阻む。

まるで「逃走を許さない」とでも言うように。


『逃走不可。

 選択肢:消滅、または――抗戦』


機械的な声が響く。

一切の慈悲も揺らぎもない。


護の喉は乾き、心臓は爆発しそうだった。

逃げれば全員、檻ごと焼き尽くされる。

抗えば、命は風に散る。


血を吐きながらも、デフリーは地面に転がったままフライパンを掲げた。

「まだ……負けてねぇ……! 俺の“武器”は、仲間の飯を守るためにあるんや……!」


護の喉が震えた。

逃げれば全員、光の檻ごと消し飛ぶ。

抗えば命は散る。


だが、仲間たちがまだ戦おうとしている。


護は腰の剣を引き抜いた。

刃は震えていたが、その瞳には迷いはない。


「俺がクソ運営を変えてやるよ」


虹の檻を睨みつけ、護は吐き捨てるように言った。


「成長ってのはな、痛みが伴うもんだ。……だったら抗ってやる!!」


その声が、七色の空に轟いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ