表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第二部 ゾンビ伯爵ロベールとの死闘

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

149/160

第1話 MIRA改造ゾンビ伯爵ロベールとの初遭遇

霧が立ちこめる薄暗い森の奥、木々の間から、不意に黒い影が現れた。


ぽつりと佇む洋館――薔薇の蔦が絡まり、古びた壁面は湿気でぬめりを帯びている。その前に、妖しく光る片目の人物が立っていた。


黒のフリルつき貴族服、上品に巻かれたウィッグ、片目には薔薇の眼帯……しかし顔の半分は白骨が覗く。


「運営MIRAちゃんから、スペシャルな力をもらってねぇ♡ アンタたちを……一匹残らずゾンビにしてあげるッ♡」


声は艶やかで、甘美な高音。だがその言葉に、背筋が凍るような威圧感が混ざる。


「アタシの舞踏会へようこそぉ~♪ 腐っても、貴族ですのよ?」


スカートのようにフリルがひらりと揺れ、薔薇の棘がちらりと光った。

ロベールは一歩踏み出すたび、地面に黒い瘴気が広がり、森の空気を腐らせていく。


「そのお顔、ちょーっとお直しが必要ね……ゾンビフェイスに♡」


突然、両腕を大きく広げると、洋館の影からゾンビの群れが蠢き出す。

一瞬で周囲を取り囲む数十体の亡者。だが、彼の華やかな仕草と笑い声は、まるで舞踏会の開幕を告げる序曲のようだ。


「オッホホホホホッ!! ゾンビでもね、気高く、美しくッ!!」


その瞬間、フロアの木々が勝手に動き、蔦がまるで舞台装置のように波打ち、護たちを精神的に追い詰める。

ティリスは弓を構えるが、視界の端にチラリと動く影に、思わず目をそらす。


「生きてるのがそんなに偉いと思ってるの? あらやだ、時代遅れよぉ♡」


ロベールの笑い声が、森の霧に反響し、まるで空気ごと笑い飛ばされそうになる。


護まもるは背後の仲間たちに目をやり、低く呟く。

「……こいつ、ただのゾンビじゃねぇ。舞踏会の支配者だ……」


森の奥、不気味な洋館の前で、戦慄と華やかさが混ざった“異形の舞踏会”が、今、始まろうとしていた。


霧が深く立ちこめる森の奥、不気味な洋館の前で、ゾンビ伯爵ロベールは優雅に両手を広げた。


「オッホホホホホッ!! 腐っても、貴族ですのよ♡」


スカートのフリルが風に揺れ、片目の薔薇眼帯が薄暗い光を反射する。その半分は白骨、半分は生きているかのような皮膚。まるでこの世のものとは思えない姿だ。


そして、洋館の扉がゆっくりと開き、暗闇から何体もの影が蠢き出す。


黒ずんだ軍服に身を包み、腕や首に瘴気が絡みつくゾンビたち――

ロベールの部下たちが、まるで舞踏会の招待客のように整然と並び、護たちを囲んだ。


「アタシの舞踏会へようこそぉ~♡ でも今日は特別に、アンタたちだけが主役よ♡」


その声に合わせて、部下たちが一斉に前進する。

ただの歩みではなく、舞踏会のステップのように優雅に、しかし確実に距離を詰めてくる。


護まもるは仲間を見回す。

ティリスは弓を構え、エイミーは長槍を握り、デフリーは前に出て構えた。コニちゃんも小さく息を吸い込む。


「……数、半端じゃねぇな」


「護隊長、ど、どうします……?」


護は一瞬、足元の落ち葉に目を落とした。

霧の向こうに見える黒い影は、ただのゾンビではない。


一体一体が、瘴気と狂気をまとい、ロベールの威厳と華やかさを引き立てる“舞踏会の参加者”なのだ。


「……まずは様子を見ろ。ロベールの狙いは、俺たちを直接潰すことじゃねぇ。心理戦だ」


「心理戦……?」


「そうだ。こいつ、戦う前から精神を削りに来てる。舞踏会の演出で、こっちを焦らせるつもりだ」


部下たちの足音がリズムを刻み、霧の中で揺れる影が揺らめく。

ロベールの笑い声とともに、森全体が不穏な空気に包まれた。


「……うぅ、早く動かないと、視界と心がやられそうだ」


護は深く息を吸い込み、仲間たちに小さくうなずく。

「油断するな。あいつら、まずは圧で潰してくる――戦闘はその後だ」


霧に包まれた洋館前、ゾンビ伯爵ロベールの“死の舞踏会”が、今、静かに幕を開ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ