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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
スピンオフ小説 『3周目 ホブゴブリンの俺、勇者が来ない?!このゲーム完全に過疎ってる。俺のクソ運営を改革だ。』

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第7話 鋼の巨躯、クリスタル・デバステーター襲来

――ズズン……ズズン……


地の奥から響く重低音。

それはまるで、世界そのものが軋んでいるかのような音だった。


「来るぞ……!」

護は洞窟の入り口に立ち、仲間たちとともに目を凝らした。


そして、現れた。


挿絵(By みてみん)


洞窟の谷間を裂いて進む、全高10メートルを超える鋼鉄の魔獣。

水晶のような装甲に覆われた身体。

6本の脚が地を穿ち、背中には剣山のごとく結晶が突き出ている。


超巨大型ボス級魔物

クリスタル・デバステーター。


かつてイベント専用で登場し、「これは倒せない」「絶望の象徴」とまで称された超ボス級存在。

その圧倒的存在感に、空気すら凍りつく。


「護。あれ……運営が放った“修正兵器”ね」


ティリスが冷静に呟き、素早く矢を番える。


「了解。急所は少ない。装甲の継ぎ目を狙って」


「ふっ……火力が通らねぇなら、炭火で焼くだけよ」


デフリーが炭火包丁を逆手に構えた。


「虫……通じない。でも、やる」


エミリーは虫かごを閉じ、長槍を背から引き抜く。舌を巻き取り、瞳を細めた。


「やるー!! どすこいどすこーい!!」

コニちゃんは干し肉を口に咥えたまま、勢いよく飛び上がった。


そして、戦闘が始まった。


「いけっ、フレイムエッジ・バースト!」


デフリーの肉包丁に宿る火力がデバステーターの脚に直撃、しかし、はじかれる。


「……矢を、5連射……月光乱舞」


ティリスの矢が雨のように降り注ぐ。

結晶装甲の隙間を狙ったが、すべて弾かれた。


「反射率……異常。魔力、吸収されてる……」


「ぬぅぅん!! どすこいアッパー!!」


コニちゃんの突進すら、鉄壁の脚部にぶつかって逆に吹き飛ばされた。


「う、うぅぅ……いたい……」


護は歯を食いしばる。


(やばい、こいつ……完全に“プレイヤーを消すために”作られてやがる。俺たちの火力じゃ、削りきれねぇ!)


まさに“バランスブレイカー”。

この世界のルールを壊すために生まれた存在。


「どうする、護!」

ティリスが叫ぶ。冷静なはずの彼女の声に焦りが滲んでいた。


護は一瞬、目を閉じた。


(戦って勝てないなら……罠で落とすしかねぇ!)


「……ティリス! あいつを俺の合図で崖っぷちまで誘導しろ!」


「了解!」


「デフリー、エミリー、コニちゃん、後退しながら誘導する! 洞窟の旧防衛ギミック、落とし穴ルートを使う!」


「ほほぉぉお!! 久々に使うんすね、それ!!」


護は素早く足元の魔方陣に手を触れた。封印された旧イベントギミック――**“深層トラップホール”**を起動!


「今だ、ティリス!!」


「必中、月華の一矢!」


矢が放たれ、デバステーターの片目に命中。

鋼の巨獣がわずかにバランスを崩した、その瞬間


ズガァァァァンッ!!


地面が崩れ、咆哮とともにデバステーターが落下していく。

奈落の底のような暗黒に、その巨体が飲み込まれていった。


……静寂。


「やった……か……?」


護がそう呟いた、まさにそのとき


ゴゴゴゴゴ……!


崩落した穴の中から、青白い光が再び浮かび上がる。

クリスタル・デバステーターが、這い上がってくる。


「マジかよ……!」


その異常な回復速度と、異常なAI制御。

自動制御の運営AI【MIRA】の冷徹な声がどこからともなく響いた。


「対象ホブゴブリン・護……破壊処理継続……逃走予測確率:64%。削除完了まで追跡継続……」


護は、顔をしかめて仲間たちに叫んだ。


「逃げるぞ!! ここは“戦うべき場所”じゃねえ!!」


仲間たちが一斉に駆け出す。

背後から迫る破壊の足音、鋼の咆哮


洞窟ごと、世界が崩れ始めていた。


「これはもう、ただのイベントじゃねぇ。運営による“粛清”だ……!」


そして護は、確信した。


(俺たちの“反逆”が、ついに本気で運営の神経を逆撫でしたってことだな)


護たちはホブゴブリンの森の洞窟から走って逃げだすことしかできなかった。




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