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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
スピンオフ小説 『3周目 ホブゴブリンの俺、勇者が来ない?!このゲーム完全に過疎ってる。俺のクソ運営を改革だ。』

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第5話 あのレアキャラ、ダークエルフを仲間にできるかも?新イベントは鰻登り


挿絵(By みてみん)


「巨大なモンスターの敵、風上から来る。四体。高度およそ二十メートル」


夜明け前の高台で、ダークエルフのティリスが低く呟いた。

その指先には銀糸のような魔弓《月影の糸弓》。冷たい月光を受けて、鏃が青く光る。


「風読んで矢を添え、構え三息、放て――」


放たれた矢は闇を裂き、風を切り裂き、そして


ズドォン!


空を飛ぶ魔獣クロウワイバーンが次々に爆散する。


護はその光景を、口元に笑みを浮かべながら眺めていた。


「……よし、やるか。ティリス、正式にお前を“イベント目玉キャラ”にする」


「え……イベントに、私が……?」


「そうだ。“ダークエルフとの共闘バトル”。しかも上位ランカーには、ティリスを仲間にできる可能性をつける。これでログイン率、鰻登り間違いなしだ」


「ま、待て、それは誤解を……そ、そう簡単に仲間になるわけじゃ……!」


「報酬説明には“仲間になってくれるかもしれない”って書いておけばOKだ」


「護っ……! 誤魔化しだろう、それ!」


「いやいや、“エルフ語での契約”ってことで曖昧にすれば問題ない。プレイヤーの想像力に委ねるんだよ。わかるか?」


ティリスの尖った耳がピクリと揺れ、先端がほんのり赤く染まった。


「こ、こういうのは……もっと、清く、誇り高く……っ!」


「ユーザーは期待してるぞ。お前の“無表情でちょっと照れる感じ”、人気出るからな」


「も、もう勝手に話を進めないでッ!でもちょっと面白そう。」


《飛べ!ダークエルフと空中討伐イベント ~月光の戦姫 ティリス降臨~》


・内容:空を飛ぶ魔物を弓で撃ち落とし、コンボと命中率でスコアが伸びる

・報酬:” ランク報酬に“月影のエルフの装備品”

  上位3名には「ティリスを仲間にできる可能性アリ」!


・ティリス専用ボイス付き:「……し、仕方ないから共闘してあげる」

・ユーザー間で噂される:「ツンデレすぎてエルフ沼すぎる」「え、射抜かれたい(意味深)」


イベント開始と同時に、かつてないほどのログイン数を記録。

サーバーの端がミシッと軋むような勢いで、久々にゲーム内は賑わいを見せた。


護は焚き火の横で腕を組み、デフリーやエミリーたちとユーザーの動きを眺めていた。


「来てる、来てるぞ。これはゲーム革命だ。俺たちNPCが、世界を変えてる」



◆ □ ▼ ■ ◇


だがその裏で、静かに、しかし確実に危機が進行していた。


自動制御の運営AI【MIRA】


その仮想コア領域で、青白い光が警告を点滅させていた。


「システム外イベント生成……確認」

「NPC権限超過……確認」

「ログインアクティビティ上昇率:過去最大」

「異常レベル:MAX」


MIRAの判断アルゴリズムは、冷徹に結論を出す。


【現システムの安定性を保つには、“ホブゴブリン・護”の削除が必要】


だが護は通常のNPCではない。削除コードでは無効。

ならば――直接的な戦闘的制圧処理。


MIRAは手を打った。

かつてイベント用に封印されていた、超大型ボス級魔物クリスタル・デバステーター

プレイヤー4人パーティでも全滅率90%とされた“バランスブレイカー”。


その封印を解く。


「排除対象:護。ロケーション:魔界フィールド座標C-7」


音もなく、漆黒の裂け目が天に走る。


挿絵(By みてみん)


その先から“システムの怒り”が具現化したような、鋼の巨躯が現れた。


そして、MIRAはただ静かに呟く。


「シュウセイ処理、カイシ」


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