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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
スピンオフ小説 『3周目 ホブゴブリンの俺、勇者が来ない?!このゲーム完全に過疎ってる。俺のクソ運営を改革だ。』

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第4話 ホブゴブリンの護、どすこい相撲の新イベントを開催

笑顔で手を振って走ってくる巨体少女?


挿絵(By みてみん)


「護せんせーい! 今日のおやつ、干し肉と激辛せんべいでいい?」


朝日が差し込む洞窟の広場に、ひときわ大きな声が響いた。

大地がドシン、ドシンと揺れるような足音とともに現れたのは、トロール族のコニちゃん。


ずんぐりした巨体にくるくる変わる表情。

その手には、ちゃんと干し肉とせんべいの袋が握られている。


「……おい、言ったろ。人間の肉は絶対NGだぞ?」


「大丈夫! これは鹿さんの干し肉! 人間は……まだ我慢してるっ」


コニちゃんはニッコリ笑って親指を立てた。


護はそんな彼を見ながら、ひとつのアイデアを思いつく。


「……癒し系で、見た目インパクト抜群。そして本人はめちゃくちゃ力持ち。コニちゃんは“土俵”向きだな」


「どひょー?」


「相撲だ。でっかいお前がでっかい声で押し出せば、そりゃあもうイベントとして盛り上がる。よし、次の企画は決まった」



その名も《どすこい魔界大相撲 ~押し出せ!トロール杯!~》


護は即席で土俵マップを生成。岩を積み上げて見事な丸い土俵を作り、エントリーNPCたちのスキルに応じて“相撲用ステータス”を組み上げていく。


・筋力がそのまま押し出し力に変換

・技量が“うっちゃり”や“かわし”の判定に反映

・コニちゃんにはNPCチャンピオン枠として公式登場!


そして始まった魔界大相撲大会。

ログインしたユーザーは口を揃えて言った。


「え、何これ? デカいトロールがどすこい言ってるんだけど」

「ていうかあの子……可愛い!?」

「出会ったらラッキー? 幸運トロール伝説、爆誕!!」


「どすこいどすこぉぉぉいッ!!」


コニちゃんがゴブリン4体をまとめて吹き飛ばす。

遠くで見ていたエミリーがぼそりと呟く。


「……虫なら、瞬殺……」


だが、土俵の上では真剣そのもの。

汗をかいて、息を切らして、でも満面の笑顔で――


「コニちゃん最高!」

「癒される!」

「結婚して!」


人気はうなぎのぼり。

一部のユーザーからは「出会ったら幸運がアップする」なんて噂まで立ち、レアモンスター的なアイドル的存在に。


護はその様子を遠巻きに見ながら、腕を組んで満足げにうなずいた。


「……“強さ”だけじゃない。“愛される存在”がプレイヤーを呼ぶ。やっぱりイベントは、心を動かしてナンボだな」


そこへコニちゃんが満面の笑みで走ってくる。


「護せんせーい! 今日の優勝賞品、“干し肉一年分”でもいい?」


「お前、それただ食いたいだけだろ……」


護は呆れながらも、土俵の真ん中でぴょこぴょこと跳ねるコニちゃんを見て、心のどこかで確信していた。


このゲーム世界は、まだ生きてる。俺たち次第で、もっと面白くできる。



◆ □ ▼ ■ ◇


しかしその裏で、かつてないほどのアクセスログの異常を検知した存在がいた。


それは、ミラージュコード社の自動運営AI――【MIRA】。

冷徹なアルゴリズムの奥で、青白い瞳が光を放つ。


「……予期せぬプレイヤー復帰……ユーザー満足度急上昇……システム外改変……対象:ホブゴブリン・護」


電子ノイズのような声がシステム内に響き渡る。


「リスク判定:高。介入レベルを上昇“修正パッチ”処理を開始します」


護たちの祝祭の裏で、【MIRA】は着々と破壊的アップデートの準備を進めていた。



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