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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第三部 人間が作り出した《もう一つの魔王》

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エピローク 闘いの後とコーチの帰還

夕陽が沈みかけた戦場に、静かな風が吹き抜ける。

地面には倒れた人間の魔王の影と、傷ついた勇者たちの姿があった。


挿絵(By みてみん)


瓦礫に腰を下ろし、深く息を吐くリュミエール。

スライムの体がまだ小刻みに震えている。


「ふぅ……あたしの体も、もう限界みたいね。でも……みんなで勝てて、本当によかったわ♡」


彼女は笑顔で、周囲を見渡した。


一方、少し離れたところでロベールが優雅に膝をつき、手を胸に当てている。


「ふふっ、あんな荒くれた戦いのあとでも、わたくしのドレスが無事で何より……それに、アタシの紅茶はまだ温かかったのよ♡やっぱり優雅に戦うのが、最高の勝利の証だわほほほほほ」


と、少し気取った口調だが、その瞳には安堵の色が浮かぶ。


ラ・ミューズは剣を鞘に収めながら、静かに空を見上げる。


「みんなが一つになったから、あんな化け物も倒せたんだ。私もまだまだだが……でも、これが“答え”なんだろうな」


と、かすかに微笑んだ。


そしてアレス。


汗と涙の跡が頬を伝うが、顔には強い決意が滲んでいる。


「みんな……ありがとう。一人じゃなにもできなかった。みんなと一緒だからこそ、ここまで来られたんだ」


静かに剣を握りしめる。


「これが、私たちの“勝利の光”だ――」


みんなが顔を見合わせて、静かな笑みを交わした。

それは言葉にできない、確かな絆の証。


風が吹き、夕陽が染める大地は、まだ傷だらけだけど、そこに生まれたのは、未来への希望だった。


仲間達はボロボロだった。

けれど、その瞳には確かに、“誰かと共に戦い抜いた”誇りが宿っていた。


スライム姫リュミエールはスライムティーで乾杯し、

ロベールは手縫いのハンカチで涙をふき、

ラ・ミューズは無言の笑みで頷いた。


そして、勇者アレスはひとり、空を見上げる。

(……コーチ見ててくれましたか?)




◆◆◆


あれから数か月後

 


風が吹きすさぶ、山奥の森の洞窟

その奥、かつて勇者たちが“最初の試練”で訪れたあの場所に、一つの影が帰ってきた。


「……戻ってきちまったな。ま、ここが一番落ち着くわけだが」


ホブゴブリンのまもるは、洞窟の奥深く、石の玉座へと腰を下ろす。

ずっと見てきた女勇者の成長を想い出していた。


洞窟の外から、風の声が届く。


『世界を救ったのは、ひとりの少女だったらしい。その名は、アレス・スカーレット。涙を見せない、最後の光の勇者……』


「そうか……ついにやったんだな、泣き虫勇者アレス・スカーレット……」

護はふっと目を細め、微笑を浮かべた。


そして、静かに立ち上がる。



「さてと、そろそろ伝説のブレイブ・レガリアのゲームがリセットの時間だ。次は……どんな勇者が、来るやらな」


自らの身体がゆっくりと光に包まれていく。

再び、“最初に倒されるはずのホブゴブリン護”へと戻る。これでゲーム魔人生三周目だ。


それでも、護は誇りを持って言える。


「この玉座で、いつでも待ってるぜ。あの子みたいな“本物勇者”に、また会える日をな……」


挿絵(By みてみん)


玉座の間に、静寂が戻る。


そして再び、洞窟の奥に新たな物語の始まりを告げる“冒険者の足音”が響いていた。

 

スピンオフ小説 2週目 ホブゴブリンの俺、泣き虫女勇者を自立させよ。


─ 完 ─



最後まで読んでいただき有難うございました。

現在

『孤独死おっさん 転生して異生活でバーサーカーになる。一発逆転パーリナイト!』を書いてます。

こちらも宜しくお願い致します。

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