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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
スピンオフ小説 2週目 ホブゴブリンの俺、泣き虫女勇者を自立させよ。

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エピローグ 女勇者の自立と旅立ち

朝日が昇り、ヒメリア村は今日も静かで穏やかな朝を迎えていた。

だが、村の中央広場だけはいつもと違うざわめきに包まれていた。


挿絵(By みてみん) 


「……それじゃあ、行ってきますっ!」


晴れやかな笑顔で手を振るのは、赤髪の女勇者アレス・スカーレット。


その姿は、もうかつての泣き虫ではなかった。


手入れの行き届いた剣、手縫いのマント、そしておにぎり入りのポーチ。


4人の師匠たちティリス、エミリー、デフリー、コニちゃんは、誇らしげに彼女を見送っていた。

「ちゃんと野菜も食べるんだぞ!」

「剣は使ったらすぐ磨けよ!」

「無理したらすぐ帰ってくるのよ!」

「おにぎり、途中でくさったら投げ捨ててねー!」


口々に飛び交う激励と、ちょっと雑な心配の声。

アレスはそれを全部受け止めて、笑顔で頷く。


彼女は、魔王討伐の旅へと向かうのだ。


やがて、村の出口へと歩みを進めたアレス。

そしてその先の森の中の木陰に、そっと見送る影がひとつ。


「……ふっ。まったく、立派になったもんだな」


ひときわ大きな体を、木の陰に隠すようにしながらブツブツ言っているそれは、ホブゴブリンの護だった。玉座の間では“かませ”を全力で演じた彼も、今はただの木陰のモブと化している。


「ねぇ、なんで木の影からコソコソ見てんの?」

コニちゃんが後ろからそっと問いかけた。


「おま……なんでここに!? いやこれはだな……その、アニメの演出でよくあるだろ? 最後に主人公が旅立つとき、謎の師匠っぽいやつが木の影から見送ってるってやつ!」


「えー、それって“実は強い裏の味方ポジ”でしょ? かませボスなのに?」

「むぐぅっ……!」


その横で、エミリーとデフリーもくすくすと笑っていた。


「なんか……影から出るタイミング完全に失ったわね」

「出ても変な空気になるから、そのままでいいと思うぞ?」


「……うるせぇ!!」


護が大声を上げた時には、アレスの姿はもう森の奥へと消えていた。


「……ふっ。いってこい、勇者」

ホブゴブリンの護は、誰にも聞こえない小さな声でつぶやいた。

その顔には、ほんの少しだけ師匠のような、兄のような、父親のような、変な誇らしさが浮かんでいた。


こうして、泣き虫だった女勇者アレス・スカーレットは数多の師匠とゴブリンの愛を背に、魔王討伐の旅へと踏み出したのだった。


いつかまた会うその日まで。

泣かない、逃げない、勇気を忘れない。

 

そして護は、今日も木陰で見ている。

なぜならそう、「あのアニメ 巨人の☆(ホシ)のノリ」だからである。


続きが書けそうなので二部も書きました。宜しくお願い致します。

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