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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第十三章 転生者が生き残りをかけてのデスゲーム

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第15話 転生者よ、願いを言え

玉座の間。

激闘の余波がなお残る空間に、静寂が満ちていた。


死闘の果てに立っていたのは、

ホブゴブリンの転生者・まもると4人の魔族の仲間たち


その時だった。


時空が、裂けた。

光も音も凍る中、空間そのものが割れて開き、

そこから一柱の存在が現れる。


銀と光の繊維、複雑なコードと時計仕掛けの歯車が全身を覆う。

彼の名は、 創造神セフィロス=コード。


挿絵(By みてみん)


このゲーム世界《伝説のブレイブ・ レガリア》を開発をリードした天才ディレクター


「……見事だ。転生者・護」


その声は静かで、だが熱を孕んでいた。


「ホブゴブリンのお前が勇者を倒す。ゲームシナリオにない想定外の物語。

お前こそが……私が待ち望んでいた、“想定外の変数”だ」


護は盾を杖のように支えながら、静かに問い返す。


「……想定外?」


セフィロスは一歩進み、答えた。


「勇者が魔王を討ち、世界を救う。そんな“予定調和”の物語を、私は最初から望んでいなかった」


「……まさか……お前……」


「そうだ。私はこの世界の開発者の一人である今田敏夫だ」


その名に、護の脳裏が震える。

かつてのゲーム業界で、知る人ぞ知る天才プログラマーの名前。

だが、数年前に急死したと報じられていた人物。


「私は会議で敗れた。“王道でなければ売れない”と押し切られた。だが、それでも諦めなかった。この世界の深層部に、“混沌”の種を埋め込んだのだ。そして3年後、自らの死をもって“バグ”を起動させ……転生者たちを、この物語に送り込んだ」



「だからこそ、私はお前にこのゲームを“望む世界に変更できる権利”を与える」


「……俺の願いは決まってる」


護は、倒れた仲間たちを見渡しながら言った。


「この世界を、元の勇者が魔王を倒す《伝説のブレイブ・レガリア》に戻してほしい。

そして、アレスが殺した人間も、魔族も、全部……元に戻してくれ」


一瞬の沈黙。

だが次の瞬間、セフィロスははっきりと首を横に振った。


「……その願いは拒否をする」


「なっ……どうしてだ!?望む世界にしてくれるんだろ」


「《伝説のブレイブ・レガリア》は、王道の駄作だ。バランスは破綻し、自由は形骸化し、心は予定された役割に縛られていた。そんなものに戻す必要など、私には一片も感じられない」


護の拳が震える。


「でも……あの世界には、人間の心があった!みんなが望む世界だった。」


「だからこそ、滅んだのだ」

セフィロスは冷たく言い放つ。


「お前のような思考の持ち主がすべてを退化させる、

勇者アレスの転生者の行動は真の進化へ導く希望だった。だから、私は拒否する」


そして彼は、背後に現れる巨大な塔を示した。


「一週間後、我がコア中枢領域《アーク・ロア=クレスト》に来い。

仲間たちともう一度話し合い、願いを練り直せ」


「……!」


「この世界の未来に、お前が何を残すか。それを最後に、私が審判しよう」


神の姿が、裂け目と共に消えていく。


そして、護のもとに、仲間たちの小さな息が戻り始めた。


物語はまだ、終わっていなかった。

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