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【5万4千PVアクセス突破 全話 完結】『最初に倒されるはずのボス、ホブゴブリンの俺。転生して本気出す。〜3年後に来る勇者を倒すための準備録〜』  作者: 虫松
第十三章 転生者が生き残りをかけてのデスゲーム

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第11話 仲間なんかクソや俺の力みせてやる。


勇者アレスの剣が閃き、重圧と共に護の盾に叩きつけられる。


「ぐっ……!」


護は全身を張ってアレスの猛攻を受け止め、少しずつ後退しながらも必死に踏みとどまる。


「まだまだだ、護!お前の防御はもう限界だぞ!」アレスの声が洞窟に響く。


護は荒い息を吐きながら、必死に声を振り絞った。

「……俺は絶対に倒れん。お前の剣を止める。それまでに……仲間たちがお前を仕留める!」


その時、ボロボロになり、血を流した人形姫のメル・アリアがふらりと玉座の間へ

這いながら現れた。

「王子様……た、助けて……目が……もう、見えない……」


アレスは冷たい視線をメル・アリアに向けた。

「はあ?まだ生きてやがったのか、お前は。最初から、この戦いが終わったらお前を殺すつもりだったんだ。転生者はわい一人で十分なんや。」


メル・アリアは震えた声で懇願する。

「お願い……王子様……私を……」


だが、アレスの足が重く踏みつけられ、無情にもメル・アリアの頭に力が加わる。

「王子じゃねえぇよ。もう終わりだ。お前はここで消えな。」


「「ギャアアアアアア!」」 メル・アリアの人形の頭が砕け散った。



洞窟の天井が震えるほどの魔力がうねり、アレスの全身からまばゆい金色のオーラが放たれていた。

その中で、彼の剣はまるで神剣のように輝きを増していく。勇者アレスがレベルアップをした。


「これが……俺の、さらなる力や。」


アレスのその言葉と同時に、足元に蹲っていたメル・アリアの身体が小さく痙攣し、ぴたりと動かなくなった。

無慈悲に踏みにじられた少女の命を前にして、護の目が怒りに燃える。


「貴様……!」


だが、そこに――


「護ーっ!!」


鋭い声と共に、玉座の間の奥の崩れた壁の隙間から、影が次々と飛び込んでくる。

お玉の杖を構えたデフリー。

丸々とした体を揺らしながら、火の玉を手に叫ぶコニちゃん。

傷だらけでもなお弓を握るエミリー。

そして、黒き羽で舞い降りるティリス。


「間に合ったか……!」


ティリスの氷の魔法がアレスの足元に氷柱を穿ち、わずかにその動きを止める。


アレスは一瞥するなり、忌々しげに顔を歪めた。


「……チッ、雑魚が湧いてきよったなぁ。」


剣を振るい、そのオーラが辺りの空間ごと切り裂く。


「仲間ぁ? フン、そんなもんクソや。足手まといの負け犬どもが集まったところで、いったい何ができるっちゅうねん!」


アレスの瞳は紅く光り、口元が狂気に歪む。


「ワイは一人でええねん! 誰にも頼らん、誰にも縛られへん、全部この力で片づけたる! それが勇者っちゅうもんやろがァッ!!」


その瞬間、地面が割れ、衝撃波が全方向に放たれる。


コニちゃんが叫ぶ。「うわーっ!なんやこの圧!胃がぐるぐるする〜!」


デフリーが一歩前に出て、護の隣に立つ。「援護するぞ、護!お前一人じゃない!」


護は苦笑しながら、その言葉に力をもらったように盾を握り直す。


「……遅いんだよ、まったく。でも、来てくれてありがとう。」


仲間たちは一斉に構えた。

対するアレスは、笑っていた狂ったように。


「いいぜ。まとめてブッ潰してやる……この俺様の新たな力でな!!」


戦場の空気が、再び熱を帯び始める。

それは、血と宿命に彩られた、決着の始まりだった。


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