悩みの種
他にも犯罪を犯し検察官の判断で行われる鑑定入院や、医療監察法に基づく入院などもあるが、精神病患者の入院は通常は措置入院か医療保護入院がメジャーである。
措置入院は何らかの精神疾患があり警察官等の要請により、都道府県知事が入院を命ずるもので、刑事罰の意味合いが強く入院費用は基本的にかからないが、通常措置入院+医療保護入院へ移行し退院するのが一般的である。
訳あって入院期間が長期化しているクランケは、障害年金+生活保護を受けるケースが多く、病院としても悩みの種である。
退院出来るクランケはなるべく直ぐに退院させベットの回転率を上げたい。そして通院させる。それが理想ではあるが、そうは行かないクランケもいる。
ユウタも障害年金(偶数月に約13万円)月額約6万8000円(満額)を支給されている。もちろん、後に登場する社長と言う人物にバッチリ管理されている為、丸々手元には残らない。
今は単発のアルバイトでしのいでいるため、ユウタとしては一刻も早く定職につきたい。借金もあるし、早くそれを精算したいと願っている。
離婚してから10年。生活の質は一向に良くならない。最も薬を服用している為、社会生活に問題は無いのだが。これもどれも双極性障害のせいだとユウタは考えている。
鬱症状はほぼ無いが、躁状態が安定しない。ニコチン依存もあり、一日一箱吸うタバコ代がユウタの財布を圧迫していた。でもユウタは唯一のストレス解消が喫煙だと言うのだから、仕方ない。気が付けばタバコをくわえている。しまいにはアイコス(電子加熱式タバコ)との二刀流を始める始末だ。
学生時代はそんなこと無かったのに…。まぁ入院するよりはよほどマシな生活ではあるが、こんなじり貧な生活とは一刻も早くお別れしたい。それがユウタの今の目標であった。