バスケ漬けの中学生時代
中学生になると、ようやく念願のバスケ部員になれた。
「コジン、やったよ!俺バスケ出来るよ!」
「ユウタ、良かったね。」
でもバスケは甘くなかった。野球もキツかったが、バスケはその10倍はキツかった。
それでもシュートが入った時のあの感覚はたまらなく快感である。オレンジ色の体操着を軽やかに脱ぎ捨てバスパン(バスケットパンツ)と半袖Tシャツになり、ピカピカのバッシュ(バスケットシューズ)を履けば、気分はもう一流のバスケットマンである。
思えば色々あったな。気にくわない先輩や後輩。校区が隣の中学に練習試合に行きボコボコにやられた事。可愛いけどスキル上の女子部員との練習試合。
努力に努力を重ねて極めた3Pシュート。ユウタの中学生時代はバスケ漬けだった。勉強も小学生時代とは異なり、人並みに頑張った。
中二の夏には目の上のたんこぶだった上級生が引退し、ユウタ達の時代がやって来た。小学生からやって来た連中の実力に追い付いたのも、ちょうどこの時期だった。
何せ少数精鋭なチームでユウタはスタメン(スターティングメンバー)だったものの、簡単にファウルアウト(退場)出来ないと言うチーム事情を抱えていた。
それなりに試合や練習試合にも慣れてきて、ボロ負けする事も減ってきていた。バスケの楽しさだけがユウタの心を支配していた。身長も急激に伸び、170㎝をゆうに超えていた。
この辺りでユウタは思春期を迎えていたが、この時期のユウタはバスケで満たされており、親の言う事をよく聞くよいこであった。
そして、なんやかんやでユウタの代も引退する事になり、中三の夏から受験勉強を開始する。両親には申し訳無かったが、ユウタの成績では公立高校には入れず、新潟県内の私立高校に通う事が決まったのは年が明けた1月半ば。公立高校組には申し訳無かったが、一足先に進路を決定させたユウタであった。
もちろん、高校でもバスケをしたいと考えていたユウタであったが、高校のバスケのレベルは中学生時代とは比較にならない位に高かった。