本格的な双極性障害の病魔
無事専門学校を卒業したユウタは、お土産物のルート配送(陳列・回収)の職につく。16年程勤め上げただろうか。そのクライアント先である大型旅館で知り合ったのが、後に妻となるヒトミであった。
ユウタの一方的な一目惚れであり、恋愛に関しては百戦錬磨のユウタはどうしてもヒトミと結婚したくなった。ヒトミもユウタの猛アタックに防戦一方。二人は3年間の交際期間を経て結婚する運びとなった。
しかし、結婚式直前になってユウタに異変が起きる。幸せの絶頂期に鬱状態になってしまったのである。結婚式もハネムーンにも何とか行ったが、近所のMクリニックで診察してもらうと、双極性気分障害の鬱状態であると診断された。
抗うつ薬を処方され服用したユウタの鬱症状は徐々に良くなり、回復に向かった。仕事を続けながらであったが、どうにか社会生活を維持したまま寛解状態に向かった。
それから数年後には長女のリコ、次女ミノリ、長男ナオキと、3人の子宝に恵まれる。仕事にも慣れて、光の戦士トニーと闇の神ミツと知り合ったのも社会人始まりの事である。
トニーやミツは学生時代のコジンの様な存在に近い。光とか闇とかまた訳の分からぬ事をと思うかもしれないが、ユウタがそう思っているのだから、それは尊重したい。
それはさておき、寛解してから薬を服用していなかったユウタは、躁状態になってしまい、クリニックではどうしようも無くなったので、規模の大きなM病院を親に薦められ受診。いよいよ、ユウタにも本格的な双極性障害の病魔が襲って来たのであった。