純粋な学生時代の終わり
ユウタの学生時代を振り返ってみると、多少の感情の変化は見られるが、気分障害や感情障害とまでは言えないだろう。バイトも学校生活も順調だった。その観点から言えば、全くごくごく普通のありふれた学生時代を送っていたと思える。
親への過剰な反抗期も特に無かったし、ポリ公の世話にもなっていない。全く純粋で真っ当な学生生活を送っていた。
ユウタは私立の高校や専門学校に進学して、お金をかけさせてしまった事を申し訳無いと思っている位親思いの優しい性格の持ち主である。学校に行けて当たり前と思っている学生よりは、ずっと大人だ。
確かにユウタの学生生活を細かく見れば、躁病エピソード(バイト代をブランド品に注ぎ込む)は存在するかもしれないが、学生時代と言うものは得てしてそんなものだ。タバコや酒やギャンブル(パチンコ等)は大人への登竜門である。
問題なのはそれらに依存してしまう事である。恐らく、ユウタのタバコ癖やギャンブル癖は1998年~2000年の成人期に身に付いたものだろう。とは言え、これはまだユウタの人生では大した意味を為さない位のプロローグに過ぎない。
これから紹介する社会人編を読めば、双極性障害の恐ろしさと、その破壊力は他人事ではなくなるはずだ。
この物語は全世界の双極性障害(気分障害・感情障害)に悩む人に捧げる実話である。