VSアンノウン【02】
戦いを終え、体中に擦り傷や細かい傷から出血しながらも、なんとか生き残ったシーラは空を見上げた。
「皆、大丈夫かな……」
その近くでは、人が通れる程の穴があり、その下には空洞があった。そこは地下回路だった。あのドローンによる攻撃はその地下に逃げなんとか難を逃れていたのだった。
◇◆◇◆◇
その頃、ルーシーは再びアンノウンの目の前に現れ戦っていた。黄金都市にあるユグドラシルの核、それに近づこうとするアンノウン。ようやく闇の深淵から姿を現したその姿は神々しくもなければ、禍々しい瘴気を放っている。黒色の翼を背中につけたおどろおどろしい姿の巨人は、顔がなく、白い腕を無数に生やしている。首無しの胴体に翼を生やした巨人はまるで不吉そのもの。それを炎の大蛇ヨルムンガンドが大きな口を開き、前に伸ばしてくる無数の腕を食いちぎった。切り落とされた断面は炎で焼かれていて、そこから異臭が漂った。鼻にくる嫌な臭いだ。ルーシーは更に風のトロール、水のクラーケンを同時にルームで生み出した。
だが、その風の刃も水も炎もアンノウンにあまり通じている様子はなかった。
すると、野太い声の笑い声や甲高い女のような笑い声、赤子のような泣き声が無数に重なり合うように闇から轟いた。
ルーシーは恐怖を感じた。これが神の残滓、意識だというのか!?
アンノウンは更に無数の腕を胴体に突き刺し、自分の胸を自分の手で開き始めた。バキバキと骨が折れる音を響かせながら、腐った肉を引き裂き、アンノウンは自身の胴体の中をさらけ出した。
ルーシーは悲鳴をあげた。
直後、炎の大蛇ヨルムンガンド、自らのクラーケン、風のトロールは、アンノウンの開かれた胴体の中へと吸い込まれていった。先程までの禍々しい瘴気がその腹からも放たれ、より濃く、そして広がっていった。それはルーシーの場所にまで届くと、瘴気はルーシーの体を蝕んだ。酷い目眩と激しい頭痛、突然襲ってくる気持ち悪さにその場で胃の中にあるもの全てを吐き出した。ルーシーは涙を流しよだれを垂らしながら、体を震わせた。
その時だった。あのエリミネーターの声が聞こえてくる。
大丈夫だよ、ルーシー。僕たちが君を守る。
突然、体が軽くなった。頭痛も目眩も消えた。ルーシーはハッと気づく。知らない間にルーシーの中にあった『愛』のルーンが発動しており、それがルーシーを瘴気から守っていた。
ルーシーの周囲に白いオーラが漂うと、そのバリアは瘴気を跳ね除けた。
だが、構わず瘴気はどんどん広がっていく。このままいけば自分の後方、ユグドラシルに、黄金都市にまでその瘴気が届いてしまう。そうなればサンサ達も皆瘴気に襲われてしまう。
(ここで私がくい止めなきゃ皆が)
大丈夫だよ、ルーシー。僕たちも強力する。君に能力を授けたエリミネーター達だって、ルーシーに協力する筈だ。そうなれば、君はルーンを最大限まで使いこなせる筈だ。
ルーシーはアンノウンを見た。
(分かった)
ルーシーは心の中でそう答えた。
そして、アンノウンはというと、また不気味な笑い声をあげ此方を嘲笑っていた。まるで人間風情が愚かにも立ちはだかっているのをバカにするかのように。
「アンノウン、笑っているのも今のうちだ。お前はここで私が終わりにする。これで最後だアンノウン!」




