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ラン・ルーシー  作者: アズ
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正義のエラー

 嵐がおさまり静まり返ると、スキンヘッドの男は辺りを見渡した。建物の屋根や金箔が剥がれ、ほとんどは建物が半壊、もしくは全壊していた。

「なんだったんだ今のは……」

 それから男は自身のパワードスーツの状態を確認した。パワードスーツは先程のフルパワーでエネルギーをだいぶ消耗しており、所々フルパワーの負荷でギシギシと音を鳴らしている。

(こいつは駄目か……ドローンはさっきので全て吸い込まれたから、もうほとんど使える武器は残ってない。クソ……)

 そもそもこの状況が想定外だった。

(なんだよ、魔法みたいな剣とか。そんなのありか? まるでルーンのような力……恐らくはその類の武器だろうが)

 自分がどれだけ発明してもルーンは生み出せない。ヴェロニカの偽ルーンだって自分の発明する兵器に取り込めるならとっくにしている。

 その時だった。突然、空から斬撃が飛んできた。男の自動センサーが男の意思に関係なく自動で回避行動をし、男は後方へ下がった。斬撃は男がいた地面を斬り、斬撃の痕を残した。

「どこからだ!?」

(いや……遠くから斬撃をスナイパーのように飛ばしてるんだ!)

 また、センサーが発動し、自動回避をする。しかも、それは長時間続いた。

 空から細かい雨のような斬撃が広範囲に降りそそいだ。

(自動回避機能が無ければ今ので死んでた!)

 センサーは飛んできた斬撃の軌道から敵の位置を特定する。

「よし、自動攻撃モード」

 パワードスーツは即座に自動で切り替え、足の部分にエネルギーが発生、地面を強く蹴り超加速で移動を開始する。その間にも斬撃が降りそそいできた。

 すると、スーツが警告音を鳴らした。

「パワードスーツのエネルギーが30%低下」

 エネルギーの負荷と激しい広範囲攻撃の回避の連続でスーツが今にもお釈迦になりかけていた。

(あの斬撃、空に一度打ち上げてから軌道を変えて落下するようになってやがる。恐らく周囲の障害物を考え空から此方を狙っているんだろうが、もうやることが剣の範疇をこえてるだろこれ)

「危険! 四方から攻撃が来ます!」

「何っ!?」

 すると、本当に前後、左右から斬撃が男目掛けて飛んできた。

 男は観念し目を閉じた。




 敗北はしたが、何故か悪い気はしなかった。結局、ここまできてしまえばあとはあのお方がユグドラシルのコアから神を復活させて取り込めば目的はそれで果たされるのだ。いくら連中でもあのお方を止められる筈がない。その時点でこれは確定された勝利だ。だとしたら悔しいという気が起きないのも当然か。もしくは、そもそも魂のない我々意識という残滓にそういった感情すら実は偽物で本当は持ち合わせてなんかいなかったのかもしれない。それはそれで納得出来る。人間だった自分がどうして人間を簡単にこうも滅ぼせるのか。そこにいったいどんな「正義」があるというのか。私はそもそも「善なる正義」を信じなかった。詭弁だと思ったからだ。だから、私の発明で人が死んでも国の為、「愛国心という正義」の元に生物兵器を生み出した。だが、かつての私に全く善がなかったわけではない。少なくともかつての私には「私なりの正義」があった。ならば、今の私をつくりだしているのは何なのか。単なる探究心で私は人を大量に殺害できる化け物が自分の本性だったのか? 否、これは私ではない。かつての自分に似た何かだ。そして、それをつくりだしたのは……悪魔だ。ならば、私はなんだったのか? 私はいったい

 男の頭の中でエラーが発生する。それは幾つものエラーが点滅する。

「パワードスーツの機能が停止しました」




 直後、黄金都市で小さな爆発が起こった。

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