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ラン・ルーシー  作者: アズ
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最後の冬【04】

「人よ神の前で沈黙せよ。そして、神の言葉を聞け」ヴェロニカはそう言った。

 だが、その神は偽りだった。偽物だった。

「最後の審判の前ではどの生き物も全て失う。一度死に、最初の神は蘇り神は現れる」

 ヴェロニカの背後にある塔の扉が音を立てながら開いた。中から顔に偽のルーンが刻まれたやつれた信者達がぞろぞろ現れ出した。

「私達の行いはただ一つ『原初神』の復活。その行いは必ず原初神の目にとまることだろう。何故ならその行いは神の目には正しくうつるからだ。世界の理が世界の流転ならば、この『世界』も例外ではない。我々の行いはその理に従い、ユグドラシルに死をもたらし、そこから神の復活、誕生を願う」

 信者達は拳を空に突きつけ声を一斉にあげだした。

「なんなのこいつら……」とベルは言った。それは他の皆も同じ感想だが、そもそも連中の目的がそれなのだから、こちらが何を言っても無駄だった。それを信じているからだ。

 しかし、本当のところヴェロニカに信仰心はなかった。なにせ、自分は本当の、本物のヴェロニカではない、ヴェロニカを真似て演じているだけのヴェロニカの意識の残りカスだった。

 それはアンノウンにもいえた。原初神から生まれた意識が意志を持ち、ユグドラシルの外側にずっと留まった。残りカスのように。そしてアンノウンは次第に自分が世界の外側イデアであると信じるようになった。それは自身が最も光源、原初神に近い存在だと疑わなかったからだ。だからアンノウンにとって原初神は重要だった。原初神を復活させ、アンノウンはそれと一体となることで光源になろうとした。私達はその目的を果たす駒だった。




 ルーシーは水のルーンを発動させ、ヴェロニカ以外の信者達の手足に水の塊を纏わせ、拘束した。

 ルーシーは掌を前に突き出すと、その掌を閉じて拳をつくった。

「ロック」

 水は氷に変化し、氷の拘束具に一瞬で変わると信者達は身動きがとれなくなり、拘束された足のせいで躓くとバタバタとその場に倒れ込んだ。




 原初神は何故自らの命を絶ったのか。それは原初神しか世界にはいなかったからだ。独りだった原初神は自らの命を犠牲にし、それを種としてユグドラシルを生み出し、理をつくった。命を生み出し続ければ世界は命で溢れてしまう。だから、万物は流転し、その理を軸に世界は回りだした。結果、原初神は沢山の命に囲まれた。ユグドラシルがそれだった。

 だが、それをアンノウンは自分が原初神と一体になる為にユグドラシルに火をつけ始めた。世界は崩壊を始めた。

 もし、それを止めれるものがいるとしたらきっと目の前に立ちはだかるこの女なのだろう。

 だから解せなかった。アンノウンが最後の駒にしたのがあの女そっくりだったということに。




 ヴェロニカの前に立ちはだかるそのルーシーは今度は火のルーンを発動させ、ルーシーは炎を纏いだした。

 それを見たヴェロニカは何かを唱え始める。

「神よ、沈黙を破ることをお許し下さい。神の復活を阻む障害、この女を打ち破る力をどうか私に与えて下さい」

 その言葉をスイッチにヴェロニカの背後にある塔が不気味な音を鳴らし響かせた。

「今度は何?」とシーラが言った。

 すると、分厚い雲が突然渦をつくり始め、その中心部の暗闇から巨大な怪鳥が姿を現しだした。それは鳥と呼ぶには大きく、鋭い嘴と爪を持っていた。赤黒い不気味な色をした怪鳥はルーシー達を見るなり威嚇の鳴き声を早速放った。

 喧嘩を売られたルーシーは上等という面で「丸焼きにしてやる」と怪鳥に向けそう宣言した。

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