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ラン・ルーシー  作者: アズ
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最後の冬【01】

「さむっ」

 ルーシー達の第一声はそれだった。さっきまでの灼熱から一転、ルーシーのルーンの力で別世界に移動しようやく到着した世界が雪の降る極寒の場所だった。荷物から急いで防寒着を取り出し、それに着替える。

 空は灰色がどんよりと覆い、太陽が見えず辺りは薄暗い。遠くには山があって手間に雪に積もった広大な畑があった。

 畑があるということは人の住む場所もそう遠くはないということだろう。

 ルーシー達は早速住人を探しに移動を開始した。

「そういえばさ、今回の移動なんだか長くなかった?」とサンサは歩きながらルーシーにそう訊ねた。

「うん……それはちょっと思った」

 ワープというかトンネルみたいたところを移動しながら世界を行き来するルーンはかつて未だ謎多き男から託された力だった。火や水、そして今回新たに手に入れた砂のルーンのようにどちらかというと戦闘向きではない力は、色んな世界を一瞬にして移動可能にした。それはルーン集めを目標にするルーシーにはかなり便利な力であり、それだけでなくいざという時の逃走手段にもなれた。実際、ルーシーはアンノウンを一度見た時勝てないと判断してこの能力で逃走していた。そんなルーンの移動はルーシーの目的に合わせ自動的に移動先を見つけ、その世界に移動するというもの。だいたいはあっという間だったが、サンサが言う通り今回は長かった。

 でも、その理由はルーシーにも分からなかった。分からないが、凄く嫌な予感がした。




 暫く歩いていると、建物が見えてきた。三角屋根に煙突のある家が複数見えた。

 ルーシー達はとりあえずその町で泊まれそうな場所を探すとこから始めた。




◇◆◇◆◆




 その世界というかその町はとにかく煩かった。朝早くから大声が外から響いてくる。窓を開けて二階から道にいる人と会話を始めだしたのだ。昨日ようやく見つけることが出来た宿泊施設で泊まることになったのだが、夜はどこかの近所の家からなのか子どもの泣き声が聞こえて全然眠れなかったというのに、今度は早朝のバタバタ騒ぎに起こされるのだ。

 朝が早いこの町は次々と人々が当たり前のようにその時間に起床しだすと、大声をあげたりガタガタと建付けの悪い窓を開ける大声や錆びついた鎧戸を開ける音、道の悪い通りを馬車が強引に通り過ぎていく音、上の階から人がバダバタと移動する足音、それはそれは賑やかな朝だった。

 思わず耐えかねて唸り声をあげながらルーシーは掛け布団を蹴り飛ばし遠くへ飛ばすと、ベットから起き上がった。

「うるさい!」

「同感」

 そう言ったのはルーシーの隣で寝ていた筈のサンサだった。ルーシーより早く目覚めたようで、歯磨きをしていた。

「ほとんどが農家や畜産、酪農家みたいだから朝が早いんだよ」

「そうだろうなとは思ったけどさ」

 ルーシーはそう言いつつ洗面所へと向かった。ルーシーが洗面所で顔を洗っている間も、外からは夫婦だろうか、その男女の怒鳴り声の大喧嘩が聞こえてくる。大都会ではない筈なのに、これ程の喧騒ならこの町に静かな場所はなさそうだった。ルーシーはため息をついてから歯磨き粉のついた歯ブラシを口に突っ込んだ。

 それからシーラやジャスミン、ベルも起きて身支度を済ませると、ルーシー達は早速この世界について情報集めに外へと出掛けた。

 最初はこの国や町について集めることにした。因みに国土や世界地図は宿の一階にあった世界地図と、国の地図でだいたい把握出来た。今、ルーシー達がいる国は細長く、北に位置する。更にこの町は国の中でも北上に位置した。

「この世界のどこかにエリミネーターがいるんだよね?」とシーラが訊いたのでルーシーは頷いた。

「ルーンはエリミネーターの近い場所に私達を飛ばしてくれたと思うから多分この国のどこかにいると思う」

「分かった」

 するとベルが「今度は雪の中にいたりしてね」と冗談ぽくそう言った。でも、可能性はゼロとはいえなかった。

 ルーシーは「どうだろう」とだけ返した。

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