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ラン・ルーシー  作者: アズ
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『砂漠』の世界

 とりあえず目標が出来たルーシー達の耳に砂の落ちていく音が聞こえてきた。陽の光を避けて砂の下で蠢く怪物達が移動している音だ。一旦ルーシー達はその場所から離れるように移動を開始した。

 獰猛な怪物達にとって標的が人間だろうと関係なかった。むしろご馳走に見えるだろう。

 ここはそういう場所だとよく分かった。渇いた場所は水だけでなく心もよく渇かした。常に飢えに苦しみ、それを紛らわすために喉の渇きは血で潤すが、それでも時と共にまた渇きが襲ってくる。永遠に苦しみからは解放されないと分かっていても自ら死ぬことを選択出来ず、また渇きから解放される為にまた血を求め怪物達は襲う。

 学校の図書で読んだことがある吸血鬼の本と似たものをルーシーは感じた。吸血鬼もまた生きる為に血を欲している。だが、それならば献血した血をくすねるなりして共存の道を歩めばいい。しかし、それでは吸血鬼の飢えは満たされなかった。人もまた例外ではないんじゃないか? 必要以上に家畜の命を奪い食事をとるのも、太った人がいるのも、人が体型を気にしてダイエットを意識するのも、普段から大量に摂取するのも、それだけ腹ではなく心が飢えていたからではないのか? それをなんとか満たそうと、大量に食事をとってしまう。そうすることで心の渇きから解放され満足感を得なければ幸福に感じることが出来ない。だから本来必要のないエネルギーを無駄に取り入れてしまう。だが、それは無際限な欲求で満たされることのない苦痛が続くということだ。

 人は不条理な世界で意志に関係なく突然放り出され(生まれ)、その世界で満たされることのない心の飢え(渇き)に苦しみ、それが永遠に解放されることがなく、その飢えをなんとかしようと他の何か(代用)で満たそうとする生き物なのかもしれない。そういう意味では私達はずっとかわいた砂漠の上にいたのかもしれない。

 ルーシーは腹の虫を鳴らした。その後ろでジャスミンはさっきから喉を爪で掻いていて、赤い爪痕を喉に残している。それを横からシーラが止めさせようとしていた。

 ここは危険だ。長居はしたくない。本能がそうさっきから警告している。ルーシーはそれをずっと無視していた。

 とりあえず、安全な岩場を探す。だが、本当の安全な場所は多分ない。それは単なる一時的なものでしかなく、どこへ行こうと渇きからは解放されない。そこに水や食料があるわけではないから。

 海で例えるなら何もない無人島。私達は鮫から逃れようと陸を探しているようなもの。

 だが、それ以前に中々探している岩場は簡単には見つからなかった。

 広大な砂漠から石を探すように難しい。それは、自分達が一夜過ごした岩場ですらもう見つけられなくなっていた。

 そうこうしているうちに気づけば空は夕闇になっていた。

 後ろではジャスミンが焦燥感に駆られ落ち着かない様子だった。それどころか全員疲労で苦痛の顔を浮かべていた。

「もう夜になっちゃうよ。どうする?」とサンサは皆にそう訊ねた。でも、後半の質問はどちらかといえばルーシーに向けられたものだった。何故ならルーシー以外にどうしようも出来ないから。サンサはこの世界を諦め脱出する選択を考えていた。それはルーシーも夕闇になる前から考えていた。ルーシーはいよいよ決断する時かと諦めがついたその時! 夕闇の空に塔が浮遊しながらルーシー達の前に現れだした。

「あいつらだ」ルーシーはそう言った。

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