万物は流転する
【前回までのあらすじ】
世界はもともと一つだった。
しかし、最初の神の死によりその遺体から新たな世界が沢山生まれるようになり、新たな生命や神々もそこに住むようになった。それが『ユグドラシル』である。
そして、その世界では世界の誕生と死が繰り返されていた。神もまた例外ではない。やがて神にも死が訪れ、かわりに神が持っていたルーンを宿したエリミネーターが出現する。組織はそのエリミネーターを利用し増え続けた世界を破壊して回る。その裏には外来種の如くどこから現れのか謎のアンノウンがユグドラシルを狙っていることをルーシー達は知る。
ーーーーそして
空から「火」を吹くドラゴン
温泉という「水」を噴出する蜘蛛
その他のエリミネーターや六人いるとされる組織のうち半分と出会い相手をしてきたルーシー達。そして、今回
砂漠に潜む「砂」を吐き出すタコ
新たなエリミネーターを目の前にするも、再び逃してしまう。
そこに新たに嵐がルーシー達に迫ってくるという!?
砂嵐は突然やってきた。タイミングが悪いのか良いのか分からないが、その嵐の気配に早く気づいた怪物達は私達を追うのをやめて砂の中へと潜った。やがて、巨大な津波のような砂嵐が現れた。あんなのに巻き込まれたら無事では済まないのは見て明らかだった。ルーシー達もヤン達もさっきまでの疲れなんか忘れて全速力で走った。だが、それより早かったのは砂嵐だった。
砂嵐を引き起こすのは風だ。
風にはのどかな風や季節を運ぶ風もあれば竜巻や砂嵐のように目に見える風は姿を毎度変えて現れるのは毎度のことだ。だから砂嵐が起きてもそれは自然現象がもたらす災害だと腑に落ちる。そして、普段の風は目に見ることは出来ない。竜巻や砂嵐のような狂暴性を増した時にだけ目に見えるようになる。そして、砂嵐は小さな砂粒一つ一つが風によって素早く飛んでいる為に刃のような凶器をもち、きっとそれは皮膚を突き刺すだろう。
そして、風は太陽と地面の間にある空気を通過して、その場にいる者を無差別に襲う。
ただ、ルーシーはあの砂嵐がただの自然現象、この世界の風とはどうも腑に落ちないでいた。
ルーシーは立ち止まり、迫る砂嵐をよーく見た。
「おい、何してる」ヤンが怒鳴ると、サンサ達も心配してルーシーを呼んだ。だが、ルーシーはどうしても確認しておきたかった。そして、それは田舎で培ったルーシーの野性的な獲物を見る目がはっきりと捉えた。
「あの砂嵐の中に何かいる!」
「何かって?」
何があの砂嵐にいるというのか、ヤンは砂嵐を見た。すると、激しい砂漠の砂が舞う突風の間に黒い影が幾つも飛び交っているのが見えた。
「イワシだ! これはイワシの群れだ」
「は? イワシ??」
「イワシの大移動だ」
「なんでイワシ? 魚だよね」とジャスミンは何がなんだかって感じで頭がパンクしていた。
「さっきからなんで砂漠に魚みたいなのが出てくるんだよ! エリミネーターもだけどさ」とベルも言う。
「ねぇ、少し思ったんだけどさ……蜘蛛のエリミネーターの時は温泉の海をつくっていたように、あのタコもこの砂漠をつくった張本人じゃないの」
「マジかよ」
世界は元は一つだった。火も水も風も土もそれって言うのはその一つには全部あったんだ。それがユグドラシルに生まれ変わった。ユグドラシルの根源は神、正確には始まりの神の命とその肉体。神々が死にエリミネーターが誕生したように、最初の神は自らの死を持って魂はこのユグドラシルを生み出した。
万物は流転する。
海も砂も止まっていないように、神も含めこの世界は流転し続けていたんだ。太陽が死にまた生まれ、朝日が現れるように、夜があるのも、神に死があるのも、この世の理なんだ。だから、人も同様なんだ。何故生きて、死ぬのか、それは流転しているからだ。
ルーシーは砂漠に火のルーンを放った。燃え盛る炎は砂嵐で更によく燃え広がった。それは中にいたこの世界のイワシも同じくだ。
「あの砂嵐を引き起こしてたのはイワシ達だよ。私達の知るイワシと違って連中は物凄い勢いよく飛び交いながら砂嵐を引き起こして、群れで大移動をしていたんだ。結果、イワシより巨大な生物はこの通り逃げていった。なら、その根源を止めれば」
砂嵐は止む。
火の粉が舞い、それは地面に落ちた。
すっかり真っ黒な焦げ跡をつくり、黒い大地をつくり出した。まるで白と黒のように、それはくっきりと境界線が出来ていた。
ガチャ。
ルーシーはゆっくりと振り返った。
背後で、ヤンがルーシーに向かって銃口を向けていた。
「どういうこと?」




