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ラン・ルーシー  作者: アズ
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砂の大地

 友人に再会し引っ叩かれたルーシーは目を覚まし、今度は仲間と一緒に世界を救うべく外の世界へと一歩踏み出すこととなった。

 自分は本当に友人に恵まれている。それに気づけなかった自分の愚かさに悔いた。生きるか死ぬか、この先危険が待っているのは明らかだ。だが、何もせず踏み止まったところでいつかは死ぬことに変わりはない。あの組織のメンバーがその間にも世界を破壊しにやってくるのだから。なら、仲間と共にその悪い奴らをぶっ倒そう。

 私達に出来るのか、そんなことはどうでも良かった。やるかやらないか、私達はやることを決断した。




 ルーシーの能力で小船ごと移動し、一瞬にして世界を跨ぐ。

 やる事は敵を倒す。でも、多分今の自分では敵わない。だから、まずは力をつける。各世界にあるであろうルーンを集める。あの男がしていたように。今度は私がその続きを引き継ぐ。




◇◆◇◆◇




 今思えばこれは何の因果か。世の中、社会、大人というものに反撥して不良のように学校を飛び出した言わば馬鹿な私達が今では世界を救おうとしている。全く、人生はどう転ぶか分からない。ただ自分は大人達の玩具、人形になりたくなかった。ただ他人につくられる自分像が嫌で出ていっただけなのに。でも、思えばその自分という像とはいったい何なのか? 夢や目標があってもそれは自分を示すものにはならないんだろう。多分、全部は。そう考えると、私についてきたサンサもベルもジャスミンもシーラもロジャーも、自分という喪失に合わずにどう生きているのか、どう生きようとしているのか。多分、その答えが分からないままなんとなく私達は大きな目標に向かって突き進んでいるんじゃないか。意味を求めて。それが世界を救うという半分自分の意志というより義務感で動く私達はそこに意味を求めているのかもしれない。だとしたら私達は大人になった時にもう一度自分というものを考えなくちゃいけないんだろう。意味を求め、何者であるかを得るために。というかそもそもその為に私達は旅に出ていた。




 能力が発動を終え、私達は見知らぬ土地の上に着地した。正確には私達を乗せた小船が黄金の絨毯のように広がる砂の海に滑り落ち、ゆっくりとそれは止まった。

「この世界にエリミネーターがいるの?」とサンサはルーシーに訊ねた。

 エリミネーターはルーンを宿し、エリミネーターを倒すことでそのルーンを得る。たまに、エリミネーターから託す例外もあるが、次あるとは限らない。

 皆で周囲を見渡してみると、ジャスミンが「あれ」と何かを見つけた。その方角に、自分達と離れた場所に巨大なタコのような怪物が砂漠の上を足を使って移動をしていた。それは八本足でよく見れば砂煙の間から微かにだが二列の吸盤があるのが確認とれる。

「タコだ」とルーシー。

「タコね」とサンサは見たままを言った。

「多分あれがこの世界のエリミネーター」

「なら、早速倒す?」

「うん」

 ルーシーは頷いた。

 エリミネーターはまだ此方には気づいていない。相手は砂漠の上を移動をし続けながら漏斗から時折砂煙を吐き出している。

 対して此方は灼熱の気温に吹きでる大量の汗、一瞬で干からびそうな地獄のような場所に加え、日陰になるような場所は一切ない。空を見上げれば雲一つなく、太陽が恐ろしく感じる程の日差しに晒されていた。ジャスミンに至っては既に暑さでバテ始めている。長居は禁物だ。

 だからこそ、海の生物であるあのタコの怪物がこの砂漠にいることが不思議だった。そもそもエリミネーターというのはどういった生態をしているのか。未だよく分かっていない。

 ルーシーが歩み始めると、突然ベルがルーシーを呼び止めた。

「ちょっと待ってルーシー。あいつの近くに何かいる」

 言われたルーシー達は立ち止まり、注意深く観察する。熱気で目を開けてるだけで眼球が渇いていく感覚がある。何度か瞬きしながら遠くを見ると、傾斜面の砂漠でボコボコと空気が抜けたように陥没し、それが直線に沿って移動していた。その方向にはあのタコのエリミネーターがいる。

「確かに何かいる」

 と、突如タコが砂漠の中に吸い込まれていくように沈み落ちた。

「な、何っ!?」とサンサは慌て騒ぐ。




 だが、ルーシー達はその時気づいていなかった。近くでその光景を眺める人影の姿がいたことを…… 。

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