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ラン・ルーシー  作者: アズ
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ルーシー

 深淵から現れた黒いどろどろの何かは異臭を辺りに放ち、まるで腐った肉体は手や足といった躰らしいパーツさえも崩れどろどろになっていた。ただ、黒い翼だけはまだ原形が保たれていた。

 ルーシーはハッとし我に返ると、アレが完全に出終わる前に攻撃を仕掛けようとした。だが、

「あ、あれ……」

身震いしたまま金縛りにあい、ルーシーの体は思い通りに動かなくなっていた。

 その間にもアレは深淵からどろどろしたものが深淵から全て出終わると、どろどろはルーシーの周囲を囲んだ。

 死ぬっ!

 ルーシーはせめてこの場から脱出する為、能力を念じた。

 お願いお願いお願い、私をどこか安全な場所へ飛ばして!

 どろどろがルーシーに迫る刹那、ルーシーの念は通じ、ルーシーは一瞬でその空間から脱出した。




◇◆◇◆◇




 その頃、ベル達は緑色のオーロラが出現した空の下の海の上でアトリから必死に逃げていた。

「あのままじゃ、あいつらも別世界に来ちゃう」とサンサが声をあげると、ジャスミンは「そんなのほっとこうよ」と言い返した。

「確かに、今の僕達じゃ何も出来ないよ」とロジャーも言う。

「そんなのは分かってるけど」

 こんな時にルーシーがいたら……サンサがそう愚痴をこぼしそうになった時、突然緑色の空から白い光が出現し、その光から人影らしきものが振ってきた。

「あれは……」シーラは空を見上げながらそう言った。ベルはその横で空から振ってきた人影を見て思わず笑みをこぼした。

「全く、あいつは何をやってるんだか」

 サンサも空を見上げた。そのサンサの顔色が徐々に明るくなる。

「ルーシー!!」

 それは、私達にとっての光だった。

 それは、私達の旅に必要な仲間だ。

 皆はサンサに続き、空に向かってルーシーを呼んだ。

「ルーシー!!」





 空高くから落ちるルーシーは風に乗って運ばれた皆の声を聞き、ルーシーは下を見た。

「皆!? なんでこんなところに……」

 すると、サンサ達の船の直ぐそばでサンサ達を追いかける悪い奴らの小船を見て直ぐに状況を察した。

「体は……うん、動く」

 手をグーパーグーパーしながら金縛りが解けたのを確認すると、ルーシーは思いきり釣り竿を振るった。

 水のルーンでアトリ達の船真下の海面を持ち上げると、アトリ達は騒ぎ声をあげた。だが、それがかえってアトリ達の船のバランスが崩れ、結果全員海の中へと落ちアトリ達はそのまま暗闇の底に向かって沈んでいった。




◇◆◇◆◇




 パチン!

 ルーシーが空からサンサ達の小船に着地して直ぐサンサから思いっきりビンタを食らい、更にベルとシーラまでもがルーシーの頬を平手打ちし、ルーシーの両頬を真っ赤にさせた。

「ご、ごめんなさい……」

「今度私達を置き去りにしたらその頬削ぎ落とすわよ」

 サンサは腕を組み仁王立ちしご立腹を示した。

「私達仲間でしょ。二度としないで」

「は、はい。もうしません」

 それを見たロジャーとジャスミンは笑った。

「てか、なんでロジャーがいるの?」

「ロジャーはルーシーを追いかけてメガコウに食われていたんです。で、私達もルーシーを追ってメガコウに食べられちゃって、ロジャーとはそこで一緒になったんですよね?」

 ジャスミンはロジャーを見た。ロジャーは頷き「君がまさか学校を抜け出すとは思わなかったよ」

「だからってあんたまで学校を抜け出すことないじゃん」

 すると、ジャスミンとサンサとシーラとベルは顔を見合わせた。皆同じ マジ? という顔で。そして、皆で呆れながら「あんたさ……なんでそこは鈍感なのさ」と言った。

「はい?」

 サンサはため息を漏らした。

「男が危険をおかしてまで女を追いかけたらもうそんなの理由は一つしかないじゃん」

「それって……」

 皆一斉に頷く。

 ルーシーはロジャーを見た。ロジャーは顔を赤くしていた。

「えっ……いや……えええええっ!?」

 ルーシーは普段見せない女の子の顔をして真っ赤に恥じらった。

 皆はいじわるに拍手しながら「お二人さんお幸せに」と言った。

 ロジャーは「皆、船が揺れる! 揺れる!」と声をあげてこの期に及んで誤魔化そうとした。そんなロジャーにベルは彼の背中を引っ叩いた。

「男でしょ! しゃきっとしな」

「いや、だから船が揺れるって!」




 それから暫くは仲間の再会を喜ぶ時間、馬鹿騒ぎが続いた。

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