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ラン・ルーシー  作者: アズ
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 サンサ達は早速長旅に備え街で食料と服を何着か見繕い、荷造りを始めた。

 その頃、ルーシーはというと誰にも相談せずただ一人でルーンを使い別世界へと渡っていた。どうしてあの男は最後にこのルーンを自分に託したのか、その意味はきっとこの世界にある。

 そこは暗い森に囲まれ、ルーシーの目の前には光輝く泉があった。ルーンを使う前に、あの男の記憶が蘇った。男はスタンフィールドを追いながら、途中よくこの泉に度々訪れていた。そしてよくその男は泉の中を覗いていた。

 おかしな話しだ。自分の記憶じゃないのにまるでその光景を知っているかのように思い出すなんて。でも、それはきっとルーンが見せた記憶なのだろう。

 ルーシーはゆっくりとその泉に近づき、キラキラと輝くそのブルーの泉の底を覗いた。

 すると、その泉の底にはなんと沢山の本や文字が刻まれた石板が沈んでいたのだ。

「これは……」

 石板の文字は見覚えがあった。自分が見てきたルーン文字によく似ている。多分、ルーンで間違いない。

 突如、空から二人のクスクスと笑い声が聞こえてきた。

「誰!?」

 ルーシーは顔をあげる。すると、木の高い枝の上に顔がそっくりな男の子二人が座っていた。双子だろうか? 髪はショートで大きな二つの目は髪と同じ黒色をしていた。ルーシーより子供なその二人は同じ白い半袖シャツに半ズボンを着ており、二人は素足を宙にぶらぶらさせていた。

「男の人は死んじゃったみたいだね」

「知り合い?」

「全然。ただ、よくこの泉に来ていたから」

 二人の声質は全く同じで見分けが本当につかない。

「あなた達はここで何をしてるの?」

「なにも。ただ、泉に誰か知らない人がやって来たから声を掛けただけ」

「その男はこの泉で何をしていたの?」

「その泉をただ眺めてた。最初はそこに沈んである本や石板を取ろうと泉に潜ったりしてたけど、無理だと分かると、ここに来ては他の方法がないか考えてたよ。結局、最後まで思いつかなかったようだけど」

「どうして無理だったの?」

「そりゃ、泉に見えてるあれらは本物じゃないからだよ」

「本物じゃない?」

「そう。あれは幻。それでも何故かその男の人は諦めようとはしなかった。そこに世界の真実が書かれてあると思っていたみたい」

「……」

 男は何故そう思ったのか? ルーンと何か関係があるのか?

「今度はあなた達のことを教えてよ」

「僕達?」「知りたい?」

 ルーシーは頷いた。

「でも、そもそも僕達に名前はないんだよね」

「名前がない?」

「そう。でも、あえて言うなら僕は『思考』」「僕は『記憶』だよ」

「それが名前?」

「いや、だからさっきも言ったけど僕達に名前なんてない。そもそもここに人が来ること事態珍しいんだから、そもそも名前なんてあっても使わないよ」

「二人しかいないの? この世界に?」

「そうだよ」「因みにこの世界に来たことがある人は君が三人目だよ」

「三人目……あと一人は誰?」

「その人は世界を旅しているとか言ってた人で、なんか沢山文字を書いていたよ」

「まさか!?」

 あの人もここに来たことがあるのか!?

「それじゃもう一つ質問。あなた達は人間?」

 双子? はニヤリとしてから「違うよ」と二人同時に答えた。

「次は僕達の番。君のこと教えて」

「私?」

 双子? は頷いた。

「私はルーシー。この世界に来れたのはここに来た男からルーンを託されたから。今はスタンフィールドとかいう男を追っているの」

「そいつは悪い奴?」

「そうだけど、どうしてそう思ったの?」

「その男もスタンフィールドを追っていたから」

「スタンフィールドについて何か知らない?」

 二人は首を横に振った。

「それよりルーシーはその男を見つけてどうするつもりなの?」

「勿論、奴を止める為」

「殺すの?」

「え?」

「君からはそのスタンフィールドに対する殺意を感じるよ」

「……」

 ルーシーは思わず視線を外した。それを見た二人は急にこう言い出した。

「一つだけ言っておくとそれぞれ世界にはルールがあります! この世界のルールは殺意を捨てなければこの世界から脱出出来ません」

「はぁ!?」

「復讐とかさ世界を救うとかさ、そんなの忘れて僕達と一緒に遊ぼうよ」「この世界にいれば平和で病気もかからないよ。幸せになれるよ」

「何言ってるの? 私はそんなのこれっぽっちも望んでなんかない! それにスタンフィールドを、連中をそのままにしたらこの世界も消失するかもしれないんだよ」

「されないよ。まだね」「そうそう」

「どうして分かるの?」

 二人はその質問に答えようとはしなかった。

「……さっき人間じゃないって言ってたけど、あなた達は何者?」

「鋭いね。それじゃこれもさっき言ったことだけど僕達には呼び名なんてないんだよね。その意味分かる? 必要がないからさ。でも、君達は僕達をこう呼んでるよね。エリミネーターって」

「!!」

「あえて言うなら僕達二人は一つで『愛』を司るエリミネーターってことになるかな」

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