エリミネーター【土】
豊満な胸に白い艶肌の妖艶な二十代の髪の青い女は血化粧をすっかり落として鮮やかな花畑の中心にいた。六輪から十二輪で明るい色が何色かランダムに咲いており、花の香りが辺りに漂っていた。そこに鉤鼻が特徴的な男、スタンフィールドがいた。
「蜘蛛神とドラゴンが消滅したようだが、その後ルーンの行方はつかめているのか?」
「えぇ。しかも、この世界の人ではないわ」
「ほぅ」
「その子が火と水のルーンを手にしたわ。それにあなたを追っているあの男もそばにいたわ」
「子と言ったが」
「少女よ。これからその少女を捕らえる計画よ」
「なら急げ」
「あなたはどうするつもり?」
「こちらの世界は大詰めだ」
「あら、そうなの。道理で余裕そうだと思った」
「お前も呑気に時間をかける場合じゃないぞ」
「それよりあなたのストーカーの方どうにかしなさいよ」
「勿論これから対処する。その為にこの世界に来たのだ」
「あら、私はついでだったの?」
スタンフィールドは答えず、踵を返して行ってしまった。
「女を置いて行くなんて酷い人。でも、そうね。とっとと少女を捕らえるとしましょう」
教祖がそう言った直後、近くの土が盛り上がり、それは移動を始めた。教祖が別世界から連れ出した巨大土竜の怪物エリミネーターだった。
女は黒い瞳をしており胡服を着ていた。それ以外に弓矢を持っていた。尖端に猛毒が仕込まれており、これにやられた者はまず助からない。更に鋭利な刃物を所持しており、長距離は弓矢、近距離は刃物と使い分けるタイプの女だった。
教祖より戦うことの方が女にとって幸せだった。それだけ血に飢えた獣でもあったが、拷問好きな残忍な一面も持っていた。その能力を買われ今は組織として行動していた。
そんな教祖の過去を知る者はこの世にいない。全て女が殺してきたからだ。最初の殺人は親だった。それから男を寝取りその相手の女を殺害。それに気づいた男も殺し、場所を移し遠くの場所でやはり男を誘惑しては自分の中にある強い独占欲が働き相手の女や親しそうな女を片っ端から殺害。こうして、行く先々で女の周りには死体ばかりが増えていった。いくら鈍い男でも状況の異変に気づき始め、女は男が確信がつく前に仕留めていった。
自分が既に壊れてしまっていることには気づいていたが、それで今更どうこう出来るわけでもなかった。既に手遅れだった。
世の中には死んでもいい人間なんていないと綺麗事を言う頭お花畑のお人好しがいたりするが、それは大きな間違いだ。何故なら自分がそうであると自覚しているからだ。だから、いつかは誰かに殺される日がくると思っている。だが、そもそも人はいつかは死ぬ運命であることには変わらない。女にとって死は特別で、スパイスで、刺激で、だからこそ殺した人間の血を顔につけ血化粧を始める。その瞬間、自分が獰猛な獣になったと実感する。化粧は人を変える。言うなれば目に見える仮面だ。人間は複数の顔を持ち、環境に合わせその仮面を使い分けている。あの仮面だ。化粧も仮面だ。女にとって戦闘服だ。
◇◆◇◆◇
その頃、ルーシー達はリアという少女の案内でリアが見た塔へ向かった。当然ながら向こうからルーシーを狙っているとはこの時は思ってもいなかった。
だが、空からあれが現れだしてから状況は一変しだした。
目の模様が沢山入った不気味な塔が空を飛んでいた。
その時、地面が大きく揺らぎだした。近くの地面から大きく土が盛り上がりだすと、周りの木々が根を剥き出しにしながら倒れ始める。
「ルーシー」サンサは思わずルーシーの腕を掴んだ。
そのルーシーはというと自分の手の甲、ルーンに熱がこもるのを感じていた。ルーシーはそれで理解した。
「エリミネーターだ」




