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ラン・ルーシー  作者: アズ
34/91

通じるもの

【前回までのあらすじ】


 田舎暮らしや学校の意味の分からない校則などが嫌で飛び出したルーシーとサンサ達は世界を旅したという詩人が記した本をきっかけに旅へ出る。その旅でルーシー達はドラゴンに襲われ、更にその裏で暗躍するスタンフィールドの計画に巻き込まれていく。そこで新たに仲間となったシーラが加わり、遂にルーシーはルーンの力で憎きドラゴンを倒す。しかし、それで終わりではなかった。元凶であるスタンフィールドをどうにかしない限り世界の危機は救えない。更に、リアの両親がいる場所はルーシー達が次に探す例の塔であった。ルーシー達はその塔へ向かう為、リアは両親を救い出す為、各々の目的が合致した時、両者は出会う。



【用語】


◎ルーン


【火】エリミネーターであるドラゴンが持つ根源。火を扱え火力が高い。

【水】エリミネーターである蜘蛛神が持つ根源。水を扱え火力は火程でないが技のバリエーションが他よりある。



◎根源



 多元宇宙の根源はどの世界も全て同じというわけではない。それは誕生から神の違いまであり、故に根源もエリミネーターもその世界の数だけ存在する。また、エリミネーターが他世界へ移動が可能だが、自らは移動しない。全てはエリミネーターを利用しようとするスタンフィールドの仕業。ただし、全てのエリミネーターが従うというわけではない。

 リアは両親のことを憎んだことはなかった。両親はただ、間違った奴らを信じてしまっただけでそれは両親が悪いわけではなかった。両親はただ信仰を続ければ自分達はまた神に救われると思っている。もし、その信仰を止めれば不幸が災いが訪れる。せっかく助かった命もどうなるか分からない。そう脅されたりでもすれば、私の為をと思ってなんだってしてきた。全財産も失い、全てを捧げ、祈り続け、時に儀式という名の体罰にリアは堪えてきた。

「人は生まれながらにして悪であり罪なのです。ですから罰を与え許しを神に請うのです」

 だが、ある儀式の時。顔に血化粧をしている教祖が【偽】ルーンを生み出したからそれを与えると言い出した。数人がまず選ばれ、その中にリアも含まれた。まず最初に私と同じくらいの女の子が石の台の上に横にされ、数人の大人達に押さえつけられた状態で顔に入れ墨を入れ始めた。特別なインクだと教祖は言って、その子の顔に両目の下から模様を入れ始めた。

 その間に教祖はルーンについて説明しだした。

 ルーンは神によってのみ与えられ、それらは全て文字であると。しかし、それでは与えられる人物はほんの一握りになってしまう。そこで教祖は新たなルーンを生み出すことにし、それを与える術を考えたと。

 それは文字ではなく模様という【偽】のルーンだった。

 彼らが今少女に刻んでいるのはその【偽】の服従を意味するルーンだった。

 全てが掘り終えた少女の顔にはさっきまでなかった入れ墨が入れられてある。

「それでは試しましょう。エマ、神に捧げる贄としてあの煮えたぎる大釜に身を投じなさい」

 すると、少女は抵抗もせずあっさりと立ち上がり大釜に近づくと、本当にその中へ自ら飛び込んだ。

「さぁ、選ばれし他の方にも同じルーンを与えましょう。そうすれば神の従順な信者へと完全になれるでしょう」

 次の小さな女の子が悲鳴をあげながら抵抗したが、大人達に簡単に取り押さえ、服従のルーンを入れ始めた。リアは幼い両頬にどんどん彫られていくのを見て、さっきの少女のように従うだけの人形にされるのだと思うとゾッと恐怖が襲った。

 そうこうしているうちに小さな女の子が入れ終わった。

 あれを入れられれば一生の終わりだ。次に青年が石の台に押さえつけられた。かなり抵抗しているようで、中々始まらない。まさにチャンスだった。これを逃せばもう無い。リアは両親を見捨てて一気に出口へと走った。




 あれから、両親のことを忘れた日は無い。

 悪いのはあいつらだ。全てを、家族をバラバラにしたあいつらだ。




 そんな時、蜘蛛神を倒したドラゴンが一人の少女によって倒された。あいつらが言っていた本物のルーンを持ったあの子が。あの子なら両親を救い出してくれるかもしれない。いや、あの子しかいない。

 言葉は通じないけど、きっと思いは通じてくれる筈。

 都合が良すぎるのは分かっている。でも、私にはあの子しかいなかった。




◇◆◇◆◇




 一方のルーシー達は少年を探そうとあちこち探し回り海の方へも行ってみたら少年だけでなく丁度探していた少女まで一緒に見つけたところだった。

 あれ? これからどうするんだっけ? こんな状況は想定外で、最初は少年から少女に説得する筈だったけどどうなるんだこれ…… 。

 ふと、ルーシーは少女の異変に気づいた。目線が明らかに自分に向けられている。その眼光の奥が最後に会った時とまるで違っていた。

 あぁ……この目で見られるのは弱いんだよななぁ。

 あれは何かを期待している目だ。きっと、少女に何かあるのと関係しているのだろう。

「シーラ、彼女に伝えて。私達は塔を探しているって」

 すると、サンサが間に入ってきた。

「ちょっとルーシー!? 忘れたの? まずはあの子が協力してくれるよう説得することから」

「するよ」

「どうして分かるのよ」

「なんとなく」

 するとシーラは「分かった」と絵を描き始めた。

 なんとなく分かる。多分、目的は一緒だ。あの子は塔の絵を見て逃げ出した。そして、あの期待する目ときたら……流石に言葉が通じなくてもこれだけ条件が揃えば想像はつく。

 シーラは彼女に描き終えた絵を渡した。少女はそれを受け取ると暫くしてからこちらを見て頷いた。

「ほらね」とルーシーが言うと、サンサは「どういうこと?」と首を傾げた。

「さぁね。なんだっていいじゃん」とルーシーは言った。

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