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ラン・ルーシー  作者: アズ
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リア

 ルーシーは正直世界の危機かもしれないという話しを聞いてもどこか深刻にはなれなかった。自分達は別に世界の救世主になる為に旅に出たわけではないし、そもそもスタンフィールドとかいう捻くれ者なんてどうでもよかった。そもそも本物って何だ? それを知ってどうする? 何故本物があるという前提で話しが進んでいるのか? 言い出したらきりがない。本物がどこまで重要なことかも分からない。別に今のままでもいいじゃないか。だというのに少し知恵があるだけでこうも面倒なことになるのか。なら、知らない方が幸せかもしれない。

 とはいえ自分はシーラの世界やこの世界とも深く関わっているだけに無関心を貫けない。

 しかし、面倒なことになったと思った。うまい飯を食べたり温泉に入ったり珍しいもんを見たりする旅の方が心が昂ぶるのだが、世界を救うなんて正直柄ではない。でも、それで沢山の人が傷つくのを簡単に見捨てることも出来ない。とりあえずあのスタンフィールドさえどうにかしてしまえばいいのだろう、だとするなら早くその男を見つける為には塔を見たという少女から話を聞き出さなければならない。問題はその少女と私達はあまり良好ではない。果たして少女は協力してくれるだろうか。

 サンサはそこで一緒にいた少年の協力をまず先に得る作戦を考えた。悪くないと思った皆はまずその作戦でいくことにした。




◇◆◇◆◇




 その頃、ドニーはリアを探し回っていた。ここ数日、皆が復興に取り掛かっている中、リアだけ姿が見えなかった。学校にはいないことは分かっていたので、あと一人でいるとしたら浜辺だろうか。

 ドニーは早速浜辺へ向かった。白い浜に穏やかな温泉の海があって、その海にピチャピチャと足をつけて一人遊びしている少女を見つけた。ドニーは「リア」と大声で呼んだ。彼女が振り返りドニーを見るなり「何?」と聞き返してきた。

「何やってるのさ。皆と一緒に復興を手伝わないのか?」

「その為に私を探してたの?」

「いや……本当の事をいうと君が心配になって。あれから姿が見えないから」

「別に私が何をしてようといいじゃない」

「良くはないよ。この村にいるなら少しは村の人とも仲良くした方がいい。君が復興に何もしていないなんて皆気づくよ。この村に居続けるなら今からでも一緒に手伝った方がいいよ」

「いいの」

「なんだって?」

「私、この村を出るつもり」

「村を出るってどういうつもり?」

「私、両親を見捨ててここまで逃げてきたの。言わなかったけど、私の両親はヤバい宗教にハマってて、私の体の傷はその宗教の儀式でついたものなの」

「そうだったんだ……でも、村を出てどうするつもりなんだ」

「両親をあのカルト宗教から救い出す。前回は上手くいかなかったけど、あのまま放ってはおけない」

「でも、そしたら君が危ないんじゃないの?」

「私の両親なんだよ。見捨てられないよ。騙されてるだけなんだから、きっと目が覚めれば優しい両親に戻ってくれる筈」

「そもそも両親はなんでそんな宗教なんかに入ったりしたんだ」

「私のせいなの」

「リアのせい!?」

「私が難病にかかった時、どの医者はお手上げで、両親は最後に宗教に頼ったの。私の病気は何故か治って、それから両親はすっかり信じ込んでしまったの。確かに奇跡は起きた。でも、それは宗教の力なんかじゃない」

「だとしても君一人だけじゃ危険だ。皆に言って」

「それは出来ない。私はこの村の何でもない単なる居候なんだよ。皆に危ない橋を渡って欲しくない」

「まさか、黙って出て行くつもりだったの」

「……」

「どうして」

「ごめん」

「なら、自分も一緒に行くよ」

「駄目! それだけは絶対に駄目」

「なら、皆に話す」

「やめて!」

「なら、どうするつもりなんだ。君一人じゃ危険で無理だ」

「考えならある」

「考えって……まさか!? あの子達か」

「あの人達は塔を知っていた。見た目が少し違っていたけど、多分協力してくれると思う。それにあのドラゴンを倒したあの人達なら両親も救い出せる筈」

「だとしても」

 その時、リアは目線をドニーから逸らした。その先にあの少女達がこちらへ向かってくる姿があった。ドニーは振り返り、ルーシー達を見た。

「ほらね。彼女達も私を探してたみたいよ」

 リアはそう言った。

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