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ラン・ルーシー  作者: アズ
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VSエリミネーター【火】

「まさか……こうなるとはな」

 謎の男はルーンを手に入れたばかりのたかが少女が直ぐに使いこなせていることに驚愕していた。

 ルーシーがしたのは、お手製の釣り竿を振り回すことで、それに合わせて水の鞭を生み出し、それをそのままドラゴンの胴体へ絡めると、一気に釣り上げた。

 それはまるで一本釣りだった。

 天高く飛んだドラゴンをそのまま勢いよく大地へ叩きつけた。

 まさか、ルーンをもう使いこなすなんて。自分の得意分野を応用しようと一瞬で考えついただけでなく本当にやってしまうなんて……どうやらあの少女にはルーンの才能があるようだった。

 だが、あれでやられる敵ではない。頑丈な上に不死身の生物だからだ。

 叩きつけられた大地に亀裂が走り、そこから炎がぶわっと吹き溢れた。その炎の中からマグマを纏ってより真っ赤な姿となったドラゴンが現れた。まるでさっきまでとは違う、これからが本気だと言わんばかりの変貌に、ドラゴンは相当今の一撃で怒り心頭のようだった。

 対するルーシーはそれに臆することなく釣り竿を構えた。その集中力と、その瞳を見た男はハッとした。

 その瞳は透き通っており、その奥からは不安や恐怖や雑念が無くなっていた。

 この少女は明鏡止水の域に達している。

 成る程、彼女なら水のルーンとは相性が良いだろう。

 正直、少女にはあのドラゴンは無理だろうと思っていた。それでも手助けに入らないのは男にとってこの世界に、少女に、何の思いも無いからだ。だというなら少女を無視すれば良かった。ただ、世界を跨ぎ、更にルーンを得た少女に少しだけ興味を持ったからだ。そしたら今度はそのルーンを使いこなすときた。

 中々こちらの想定を上回ることをしてくる少女に自分がどんどん惹かれていっていることに気づいた。

 しかし、問題はこれからだ。男には少女にヒントを与えていた。



 心頭滅却すれば火もまた涼し。



 これは単なるやせ我慢などではない。あることに決心した者が辿り着く境地に見せた覚悟から出る言葉である。炎を目の前にしてもその信念を貫けるか。これは試されているのだ。

 だが、どうやらその心配は無用のようだった。

 ルーシーは死を覚悟というより、その炎すらも勝とうとしていた。

 成る程、炎に勝つ気でいるのか。

 ルーシーは津波で浸水した水を集め、巨大な水の鞭を生成してみせた。釣り竿を振りながらその鞭は徐々に巨大な水蛇へと変化しだす。

 ドラゴンはそれを操るルーシーを見つけるや素早く飛んできた。

 直進。

 そうと分かるとルーシーの目は鋭くなった。眼光はドラゴンをとらえ釣り竿を振るう。まるで、魔女が杖を使うように、ルーシーは釣り竿で自ら生み出した水蛇をドラゴンのところへ放つ。釣り竿を持つ腕に血管が浮かび上がり、力が入る。釣り竿はさっきよりも重くなっていたのだ。それでもルーシーの手は止まらない。

「くらいやがれぇ!!!」

 水蛇は大きな口を開き、マグマのようなドラゴンを丸呑みした。水蛇の腹の中で赤く熱を発しながらドラゴンは最後まで抵抗し暴れ回った。

 あのままでは蛇の腹は破られてしまう。だが、運良く水はまだまだそこらじゅうに余っていた。ルーシーはどうせなら浸水した水を使い果たそうとした。どんどん水は継ぎ足しされ、ドラゴンの熱は徐々に落ちていった。

 そして、全ての水を使い果たすと、ドラゴンは完全に沈黙し、水蛇の腹の中におさまった。

 刹那、ルーシーの左手の甲に文字が走り出し、血が流れた。

 ドラゴンは蛇に消火され、それは主のルーシーに宿った。




 あの短期間でドラゴンを倒し更に火のルーンも手にするか。

 面白い。あの子はもっとこれから力をつけるだろう。そうすれば、あの男にも勝てるかもしれない。

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