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ラン・ルーシー  作者: アズ
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救出作戦【4】

「シーラと革命家達の出会いって訊いてもいい?」

 シーラは頷いた。




 私の両親が捕まった時、父の親友が当局に同じく捕まる可能性があった私を保護してくれた。革命家とは親友が連れていった当局に狙われている人達を保護している場所で会って、私はそこで一時的に保護されていた。そこには私より小さい子やお年寄りまで保護されていて、皆で共同生活を送っていたの。そこには顔に入れ墨を入れられた子達もいた。

 私は暫くその人達と共同生活を送っていた。その時はまだ両親は生きていると信じていた。大丈夫だって。直ぐに解放されるんだって。それに、そこにいたおじさん達も当局に父が従えば解放される可能性はあるって言ってたから。だから私はそこで自分が出来ることをお手伝いしていた。でも、私がいた共同生活の場所はもう人数的にいっぱいで保護出来る人数も限られていた。私はこのままじゃダメだと思った。私を保護してくれた人達にいつまでも甘えてはいられないと思った自分は相談もせず自分で決意し、そこを出ることにしたの。当局が私を追ってないことをおじさん達から教えてもらっていた私は、両親が戻ってくるまでいつもの日常を出来るだけ振る舞おうと家の掃除もしながら学校のある日はちゃんと登校した。私に出来ることはそれぐらいだったから。まだその時は小さかったし。でも、あれは大きな間違いだった。私が教室に入って一歩目で全員が私に気づき一斉に視線を向けてきた。その一歩目の異様さに私は嗚呼もう日常には戻れないんだって気付かされた。それから一日の半分が過ぎたとき、突然一番親しかった子が近づいてきて、そして私に言った。お前がいると雰囲気が悪くなる。私はその時初めて人が怖いと感じた。

 本当は苦しいのはこの世で一人だけじゃないのに、その瞬間だけ自分だけが不幸な気がして、全てが嫌になった。

 私はそこから逃げるように教室を飛び出して家に帰って、鞄から落書きされた教科書を出してそれを見たら、我慢してた感情がおさえきれなくなって、あんなに勉強を頑張ってたのに、その落書きの上に絵の具をぶちまけて更に教科書を駄目にして、私はその教科書を投げ捨てた。それで片隅でずっと泣いた。気がついた時にはもう外は暗くなっていた。




「今はもうその頃を引きずってはいない」

「無理してない?」

「ううん。大丈夫」

「あなたに意地悪言った子の名前教えて」

「え? ……アナだけど」

「アナなんか死んじまえ!」

 ルーシーは突然、シーラの前で大声をあげた。

「ついでに当局の奴らも死んじまえ!」

「ちょっ!? ルーシー、駄目だよ。大声だしたら気づかれちゃう」

「一人で抱え込むなよ。例えシーラ以外の全員が敵になったとしても、私は最後までシーラの仲間だよ」

「ルーシー……」

「大丈夫。シーラの分も守ってみせる」

「ありがとう」

「それじゃ行こう!」

「うん!」

 シーラは心の中でもう一度ルーシーにお礼を言った。ありがとう。




 列車は目的地に到着し、ルーシーとシーラは気づかれないうちにそっと貨車から降りて建物の裏側へと回った。その途中には軍も管理する当局だけあって大型の物騒な兵器が辺りにあり、四足歩行の戦闘機が並んでいた。コックピットがあって人が乗って操縦するのだろう。そのサイドには機関砲がついてある。これでコックピットにいる人間は安全な場所から人を襲って攻撃するのか。それらの影に潜み隠れながら裏側へ到着すると、無機質な建物に搬入口を見つけた。その前にはこれから搬入される木箱が積まれており、作業員がリフトでそれを搬入する作業に取り掛かっていた。その作業に集中してくれているおかげで二人は簡単に木箱に近づくことができ、留め具がしてある蓋を開けて二人はひっそりとその中に紛れ込んだ。





 その頃、革命家達の当局への攻撃が本格化し始め、動ける者は総動員で直ちに現場へと出動していた。

 既に変装したカラス達(革命家達)によってセキュリティを突破された重要施設は炎上し、損害は史上最大にまで及んでいた。

 その施設の所長は当然状況を理解していたし、次に狙う可能性があるとしたら当局が捕らえた人質救出だろうと所長はそう思っていた。当局がこれまで革命家のメンバーの一部を突き止め、その家族を捕らえて現在収容中だ。奴らは仲間を見捨てられない筈だ。

 かつて、カラスどもにこの施設を狙われた際、地下にある収容施設まで潜入を許し、この施設のセキュリティは一度奴らに知れ渡った。今はセキュリティを変更してあるが、その当時と手口が似ている。他の施設を狙ったと思わせ、手薄になったここを少人数で突破し救出する作戦。奴らも中々思い切ったことを踏み込む。その前は決まって連中は静かになる。今もそれと同じ状況だ。だというのに、今回唯一異なるのは規模だ。むしろこのまま本部まで直行する気なのか、それぐらい全力で勢いがある。人質は諦めたのか? 何故そこまで奴らは急いだのか。答えは簡単だ。我々当局が新たな兵器の開発を開始し、それを完成させる前に一気に勝負に出たか。だが、甘い。連中は同じ手を使った。損害は痛手だが、これでむしろ連中を一気に壊滅へと向けられる。勝機は我々当局にある。

 だというのに、胸の奥でざわめきがあった。自分はこの時の直感を信じることにしていた。だから、これを無視することは出来ない。

 連中は何かを企んでいる。

 所長は部下を呼び、そして命令を下した。

 ここを厳戒態勢を敷くようにと。

 部下は最初頭にハテナを浮かべた。そうであろう、カラスにもう残りの戦力はない筈だ。だからこそ、所長は更に少人数での救出を試みるのではと考えた。

 無謀に見える策、しかし、それに賭けた可能性は捨てきれない。

 所長はあの時を思い出す。連中が救出作戦で地下まで侵入し、そこにいた当局に反抗する連中を解放しようとした、そこに居合わせた自分は目の前で逃げる奴らに向かってこの手で射殺した。一人は教師の男を、もう一発は撃たれた男を救おうとした女だ。そいつらには家族がいたようだが、もうそれどころではなかった。それに、死刑にする前に殺しては、見せしめも出来まい。

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