朱雀大路祭り
屋敷を出て、朱雀大路に出た零。
大路では祭りをやっていた。
日没が近づいていく。
決戦は今夜だ。
〈朱雀大路祭り〉
-百鬼夜行当日午前[朱雀大路]-
都の真ん中。
朱雀大路は一年で一番賑わっていた。
大路の脇にはたくさんの屋台がある。
俺は屋敷から抜け出して大路に来ていた。
もちろん制服では初日のように注目を集めてしまう為、
式さんの屋敷で男用の服をもらった。
そして大路の奥、応天門周辺では都の人達が盆踊りを踊っていた。
ドン、ドン。
太鼓の音。
シャンシャンとなる弦楽器の音。
どうやらこの弦楽器の音は三味線だったらしい。
今回はこの音を好きにならないといけない。
ポン、ポン。
この音は、鼓だろうか。
俺が暮らしている地域の祭りは東と西の寺が繋がり東と西の仏様がその真ん中で酒を酌み交わす祭り。
どうやらこれはこの時代からあったらしい。
羅生門の前で神輿が二つ置かれている。
そしてその前には酒。
俺の住んでいる地域の祭りまんまだ。
つまりこの祭りの一部が地域の祭りとして
受け継がれているらしい。
「零さーん!」
式さんが急いでこっちに走ってきた。
「どうしたんですか」
「ついに今日の夜、百鬼夜行ですね。たったの4日間でしたが、なんだか寂しいです」
「たったの4日間とおっしゃりましたが、自分には結構長く感じました」
「そうですね!さぁ、夜までまだありますし、ゆっくりこの祭りを楽しんでいってください!
あ、そういえば零さんはここの銭を持ってませんでしたね。これを使ってください!」
「いやいや悪いですよ」
「いいんですよ!なんだかんだ楽しかったですし」
「それじゃあ、お言葉に甘えて」
それにしてもとても賑わっている。
老若男女問わず色んな人が笑顔を見せている。
そして数時間後...
日没が近づいてきた。
屋台は片付けを始めている。
そろそろ決戦の時。
屋敷を出る前に調べたのだが、どうやらこの
朱雀大路祭りの音ではなく百鬼夜行中の音を
好きにならないといけないらしい。
めんどくさいが、好きになるしかない。
音を。
〈朱雀大路祭り-終-〉
恋。