九条屋敷
九条屋敷で三日間泊まらせてもらい色々と調べた零。
そして九条家にはとある書物があった。
そこには「百鬼夜行」という文字。
それの正体は...?
〈九条屋敷〉
祭りまでの三日間泊まらせてもらうことになった。
泊まらせてもらってわかったこと、
ここは鎌倉時代の平安京だということ。
平安京は財政難に苦しんでおり、公家や武士が圧倒的に裕福であること。
飢え死にをしている人がたくさんいるが、
その死体がどこに行ったかわからないこと。
などのたくさんのことがわかった。
そして特に印象に残ったのが、
祭りの日は夜出歩いてはならないということ。
そのことを式さんと調べた結果、
とある書物にこんなことが記載されていた。
『毎年の祭りの夜、朱雀大路は邪悪な何かが漂い、
その邪悪な何かはやがて百の妖へと成り変わり、
応天門から羅生門へと朱雀大路を行進する。
百の中には大きな骸骨や首が長い女、
目が一つの人、顔や腕や足がそれぞれ倍になっている人、
それに鬼や傘までもが生き生きと行進をする。
行進中は太鼓、三味線、箏を使い演奏をする。
そして行進の最後尾は東寺と西寺の仏が神輿に乗り、行進をする。
百の妖が行進した後、鵺が羅生門の門を閉じ、
この行進を終える。
この行進を人々は[百鬼夜行]と読んだ。』
と。
一見、この百鬼夜行が今回の件と何が関係しているのかと
思うだろうが、それがとても関係している。
この書物には書いていないが、
九条家の先祖は記録を残していた。
『百鬼夜行が終盤に差し掛かった時、
異国から来た物怪は足からどんどん身体が
透明になってゆく。そして百鬼夜行が鵺によって
幕を閉じた時、物怪はこの世から跡形もなく消える。
そして人類の記憶から完全に消去される。
それを防ぐ為には百鬼夜行が終わるまでに
元居た異国へと帰らねばならない』
この記載からして、百鬼夜行と呼ばれる祭りが
終わるまでに俺は家に帰らなければならないらしい。
そしてこんな記載もあった。
『異国に戻る方法は先程記載していたが、
先程記載していたことができなかった場合、
一か八かの策がある。
だが、それは犠牲を伴う。
記載しておくがしてはならない方法だ。
まず、異国から来た物怪か九条家の者が
百鬼夜行前日に我が九条家が治める東寺に
夢覚鵺と呼ばれる酒を供える。
その酒を供えた後百鬼夜行当日まで待つ。
そして百鬼夜行が終盤に差し掛かった時
後列にいる鵺が我が九条家の者の御魂を取りに来る。
そして御魂を差し出したあと物怪は羅生門をくぐれるようになる。
鵺が扉を閉める前に門をくぐれば異国に帰れる』
というものだ。
これは本当に一か八かの策すぎる。
それに他の人の命と引き換えに俺が助かるなんてことはあってはダメだ。
絶対に音を好きにならないといけない。
簡単なことだが緊張してくる。
今日は百鬼夜行前日。
明日の夜、百鬼夜行が行われる。
〈九条屋敷-終-〉
鵺。