ワンワンワワン!11月11日ワンちゃんの日に因んで
今日は11月11日。
ワンワンワワン!犬の日ですね。
犬に因んだエッセイを…と思ったんだけど、まてよ。
過去の記憶をずーっと辿っても、犬が出てくる記憶はホンのわずかしかない!ってことに気づいた。
ネコだったら幾らでも出てくるんだけど(笑)、ワンコには とんと縁がない人生だったのだ。
それでも、一番近い記憶は・・・・そうだ、あった!
子供たちと一緒に野外活動をしている頃。仲間に、どでかいラブラドールレトリバー君を家族以上に大事にされ暮らしている人があった。仮に「山田さん」と呼ぼう。
山田さんのラブ君愛はなかなかに凄かった。口を開けば可愛がるラブ君の自慢話が滔々と続いた。
実際山田さん自身の息子君よりもラブ君は年上の「おにいちゃん」だったようだ。我々の活動場所の芝生広場にも、息子君の送迎時とかに よく連れて来ていた。
そんな時は広々した芝生はラブ君格好の遊び場となり、彼ははしゃいで元気に遊びまわっていた。
大人が四つん這いになったくらいは優にあるどでかいラブ君だが、あまり山田さんの言う事はきかず、奥さんがリードを引っ張ってもよく振り回されたりしていた。
ある日。活動が終わっておうちの人のお迎えを待っている時間だった。私の周囲には、まだ数人の子供たちがたむろしていた。そこへ、山田さんの車が到着した。
運転席から奥さんが降り後部座席の扉を開けると、そこからラブ君も降りてきた。そのときリードは手に持っていなかった。
次の瞬間、芝生広場に降ろされてテンション爆上げ、歓喜に満ちたラブ君は、まっしぐらにこちらに向かって駆け寄ってきた。息子君に走り寄って来たのかと思ったら、いやそうじゃなかった!
彼は、私に全力で飛びついて来たのだ!
でーん!!
どでかいラブラドールレトリバーに思いっきり体当たりでじゃれつかれ、私は勢いでその場に押し倒されてしまった!お腹の上に乗っかられ重くて動けん!その上でっかい顔の長い舌ベロで顔やら手やらをべろべろ舐められ。
おいおいおい、やめろやー!
きみが親愛の情を示してくれとるのは解らんでもないが。
こちとらネコは好きだが、でっかいアンタに問答無用で押し倒されるいわれはないわー!
「こらこら、だめよ、やめなさいラブちゃん…」
奥さんは私と彼の姿をみて、ニコニコとうれしそうに笑いながら「ゆっくりと」歩み寄ってきた。そういってやっとリードを手に取って、彼をぐいと引っ張った。
息荒いラブ君がやっとお腹の上から離れてくれて、私は立ち上がることが出来た。じゃれつかれて顔はよだれだらけ。アタマから背中から全身、乾いた芝生の枯れ草まみれになっていた。
やれやれ。参ったな。ワンちゃんは別に嫌いじゃない、でもねえ。これがもし、犬がキライとか怖い人や、体の小さな、周囲に居た子供達だったらどうなってた?
わたしで、良かったわ。
正直、そう思った。
でもそのときなにより驚いたのは、彼女に「ごめんなさい」の一言もなかったことだった。ラブ君を叱ることも、一切なかった・・・。
彼女はずっと、押し倒されなすすべない私と馬乗りになったラブ君をニコニコと笑いながら見ていたのだ。
そうかぁ、彼女にとってはそういうの、日常の事なんだよね・・・。
寧ろ嬉しいことなのだろう。私や他の子達が、同じように喜んでいると思ったのだね。でもその時の私には、彼を可愛がりすぎるあまり上下関係が逆転してるような感じに見えてしまった。
力の強い体の大きな彼が突然飛びついてきたら、一歩間違えたら怪我するでしょーよ。柔らかい芝生だったから、ばったり仰向けに転んでもケガしないで済んだけどね。
ラブ君がやったのは実はとても危険な行為なはず。もう少し想像力を働かせて、オーナーとして責任ある対応をして欲しかったなぁ・・・。それがラブ君にとってもオーナーさんにとっても周囲の人にとっても、心地よく共に暮らす、共存共栄ってことに繋がるのだと思うから。
「いやあ、ワンちゃんに突撃されて押し倒されたのは、生まれて初めてですよ!凄い力ですよね!」って山田さんにはチクリと告げた。それをどう感じ取ってくれたかはわからないが、その後ほどなく活動場所も変わったので、ラブ君を見かけたことはなかった。
今は当時よりずっとオーナーさん達の意識もちゃんとしてきてると思うけど。
この時に「自分はいいと思うけど、他の人はまた違うんだな」っていう価値観の違いがあることを強く思った。いつも忘れずに居たいなと思う。みんなが少しずつ譲歩し合って、互いに穏やかな笑顔で暮らしていくために。
何度も書くけど、わたしワンちゃん嫌いじゃありません、どっちか言うと好きです。
それでもね、よく考えたら「困ってしまってワンワワン!ワンワンワワン!」だった、ちょっと昔の記憶でした。