多分乙女ゲーかなんかのモブ。多分。
「──はっ!」
突如前世の記憶が戻った、学園入学直後。
この世界が私が前世でやってた乙女ゲー
……か、なにかの世界
……の、ような気がした。
所謂『乙女ゲー転生』である。
もしかしたら、『小説転生』かもしれないけど。
まぁそういう感じの。(雑)
前世の記憶が胡乱であるのもそうだが、なにぶん似たような設定が多かった。(※そこはハッキリ思い出した)
そのせいもあり、前世では日々ゲームに漫画に小説に……と死ぬ程摂取し、浅く満喫しまくっていた私にはもうどれがどれやら。
だがなにしろ学園には、それぞれタイプの違う突出したイケメンが6人と、悪役令嬢っぽい縦ロール傲慢顔の美女、そしていかにもヒロインっぽいピンク髪のカワイ子ちゃんがいるのだ。
これは絶対『乙女ゲー転生』とかそういうヤツ!……私のようなタイプの浅いオタクがまずそう思うのは当然のこと。
則ち、普通の感性であると言える。
そんな普通の感性の持ち主である私の転生先は、おそらくモブ。
極めて普通である外見と、特別可もなく不可もない家柄を備え、特になんの取り柄もない。
鉄壁のモブである。
現世の記憶もちゃんとあるので、日常が邪魔して益々前世の記憶は曖昧だ。
『ような気がした』でもお察しの通り、乙女ゲーだとしてもシナリオ攻略云々とかまず無理なやつ。
ついでに言うと、前世の記憶によって私の性格が特別な変化を遂げたという事実もない。
多少影響は受けたかもしれないが、そもそも前世でも現世でも割と普通であった私だからか、あまり変わった気はしない。
ただし、前世を思い出したことで元々楽しみにしていた学園生活への期待値は否応なく膨れていた。
だって、散々似たようなモノを摂取しまくっていたくらいよ?
キラキライケメンと美女ふたり……上がるわ~。
テンアゲだわ~。
リアルなだけに、過度なざまぁとかドロドロとかは勘弁だけど、近くでそれっぽいモノが拝めるとか。
心が踊り昂りときめかない訳がない。
(よーし! この際モブ転生を満喫するぞ~!)
──などと、その時は思っていたのだが。
スマホ壊れたんで(生きてはいる)、念の為投稿しとくことにしました。