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導きの神様  作者: 夕月夜
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第四章一節 水無月の戯れ その1


「翡翠さん、こんにちは」


「あ、碧泉さん、こんにちは。最近よくお会いしますね」



私が倒れたあの日から、碧泉さんは度々私の目の前に現れるようになった。



「何故こうも毎日のようにあなたの顔を見なくてはならないのですか、碧泉。」


「そう思うなら、君が翡翠さんから離れればいいのでは?」


「そういうわけにはいかないことは、あなたが一番よくわかってるのではないでしょうか」



東雲は一見微笑んでいるように見えるが、目元は全くもって笑っていない。


笑顔で視線を交わす東雲と碧泉さんの間に、バチバチと散る火花が見えたような気がした。

この二柱は、顔を合わせる度に言い合いをしている。


お互いに犬猿の仲だと思っているようだけど、側から見たら……



「お二方とも、仲がいいですね」


「「どこがですか!!!」」



声が揃った二柱の神は、一瞬だけ互いの顔を見合わせ、ブンっという効果音がつきそうなほど思い切り顔を背けた。


反応まで一緒だ。


これを見せられて仲良くないって言われても、説得力ないんだけどな。


碧泉が姿を表し始めた当初は、こんなにも東雲が剣呑な態度を取る相手がいるのだと驚いていたが、今ではとうに慣れてしまった。


それほど頻繁に、この神様たちは言い合いをしている。


再度言い合いを始めてしまった東雲と碧泉の姿を見ていると、翡翠の頭にある提案が浮かんだ。



「水を差してしまうようで申し訳ないのですが、碧泉さん、このあと何かご予定はありますか?」


「え?ああ、いえ、特にはありませんが……」



いきなりそんな質問をされた碧泉は、翡翠の意図するところがわからず、頭に疑問符を浮かべている。



「翡翠さん、まさか……」



翡翠の言わんとすることがわかったらしい東雲が、驚愕の表情を浮かべている。


そんな東雲に、翡翠は答える代わりに笑みを見せ、そして再び碧泉に向き直った。



「碧泉さん、このあと私たち甘いものを食べに行くんですけど、良ければ碧泉さんもご一緒にいかがですか?」


「やはり……」



横から心底嫌そうな声が聞こえてきたが、スルーして話を進める。



「もちろん、無理にとは言いませんが。」


「是非ご一緒させてください」



食い気味な碧泉からの色良い返事を聞いた翡翠は、にこりと笑みを浮かべてから


「それは嬉しいですね。では、目的のお店へ参りましょう!」


と言って歩き始めた。



一方の碧泉は少し勝ち誇ったような表情を、もう一方の東雲は少し不機嫌そうな表情を浮かべながらも、翡翠の後を追って一緒に歩き出した。



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