漆 Endroll
【紛れ】は数を増していく。そのすべてを蹴散らし、奥へと進む。「改めて、ホントに強いね。相手、攻撃する暇もないじゃん」「あぁ」少し、恐怖を覚えた。俺は今、躊躇がない。元人間…とその他諸々の命を何とも思っていない。仕方ないこととはいえ、前までは少しは命のことを憂いていたのに。「…」この世界とはつくりが違う空間に着く。「この空間か、親玉がいるのは」神剣“コンシリエンター(神の慈悲)”を不可視の鞘から抜くように出す。予想が当たっているなら、これがないとどうしようもない。
刹那の静寂。予想は残念ながら当たってくれた。カグラへの殺意を剣で薙ぐ。「きゃっ」「随分なご挨拶だな?俺に頭も下げずにレディに剣を向けるとは」「待っていたぞカミとやら!タトネの攻撃を止めるとはやるな!」「俺の事を待っていた割にはコイツに剣を振るうのだな」「其れが死ねばお前が絶望するかと思ってな!」「…俺はお前を知らない。何故俺の事を知っている?」「では名乗ろう!タトネはタトネ!多次元宇宙の一つからワームホールを使ってはるばるこの宇宙へやってきた、宇宙人であり、カミだ!」「はるばるここへ来た理由はなんだ?」「ワームホールを使って遊んでいたら事故でワームホールが起動して座標を指定する時間もなく、タトネ自身が飛ばされてしまってな!気付いたらここに居たというワケだ!ここにずっといるわけにもいかないから、そこらへんにいたやつの願いを叶えるかわりにここの空間を借りてワームホール起動装置をつくり、帰ろうとしてたんだよ。そう!このワームホール起動装置、難があってな、ここの宇宙では開けなかったんだよ。違う宇宙産の素材、環境なせいかワームホールが安定しなくてな!仕方ないからここの宇宙を弄る為に向こうの宇宙の素材、環境を調べ、主に構成していたものがカミという存在だとわかったから、その存在と見做す物を見つけないといけないわけだが、曖昧な存在だったんだよ。だが、ヒントはあった。ようはその宇宙を構成する存在で有ればいい。タトネもそれに近い存在であるから、クリアした。だが、これでも安定しない。どうすればいいか…考えた。そして答えに辿り着いた。座標が隣り合っていれば良いと!だが、ここでもやはり問題が生じる。あまりにも座標が違いすぎる。ここの宇宙は5.hs4.mqG1、向こうの宇宙はaJ78.64Ud、近所とかそういう次元じゃないんだ。でも、タトネは気づいた、この宇宙の構成している主なものはカミ、ならば座標を書き換える事もできるのではと。普通座標を書き換える事は出来ない。だが、この宇宙は簡単に存在を書き換える事が出来る。カミとはそういうものであったから!そしてタトネは遂に座標を書き換え、隣り合った宇宙と解釈した!これでワームホールも安定し、帰る準備が整った」「話が長い!」「すまない、こういう事を話すのは楽しくてな!それで、このまま帰るのも良いが、この宇宙の構成者と会ってみたかったんだよ。だからここまで来るよう書き換えたんだ。」「…それで?何故俺を絶望させまいとしているかの理由がまだだが?」「ここには感情というものが生じることに起因する現象が在るはずなのだ。ソレを調べたい。そして感情とは哀しみ、怒りが最も色濃く出るものであると学んだものでな。その検証もかねようと」「却下したいのだが?」「大丈夫だ、瞬きの間に痛みを感じずに逝かせてやる」「嫌。私には居場所があるの」「そうか…じゃあ天にも居場所をつくってやろう。そうだな、まずはレ・エト・モル虚体にした後、そこに在る思念体を零掴保存し、天の環境に適応するよう仮だけど天体を使おう。これで一つ居場所ができる」「いらないって。私はここでいいの」「そうか…では、強引に行こうか」やはりそうなるのか
(突如現れた多次元宇宙からの来訪者。世界は崩壊を始める)
そろそろクライマックスです。勝つのでしょうか。負けるのでしょうか。…そろそろ、時。向かいましょう。