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『ボクのカラダにゴールして』 

作者: 皆木 亮

「こんにちは~。お兄さん~。」


「初めまして~。」



 日曜の昼過ぎ、家でTVでも見つつゴロゴロとしていると、

 玄関のチャイムが鳴ったので、

 また営業マンか何かが来たのかと思えば、

 そこには、凄まじく驚くような客が、2人、来ていた。



 一人は、ポメラニアンの顔。

 もう一人は、プードルの顔だった。





 そう説明するだけでは、

 この凄まじい驚きが何故なのか伝わらないだろうが、

 ここからが凄まじいところなのだ。



 なんと、その二人は、

『様な顔』ではなく、『の顔』なのだ!



 つまり、

 犬そのものの顔で人語を解する上、

 身体が人の身体なのだッ‼


 服を着ていて、

 身体は人間そのモノなのに顔だけが犬なのだッ‼





「な…なんだ…オマエたち⁉」

 驚きおののくオレに、



「ボクたち宇宙から来たんだけど、

 この星の言葉を、もっと知りたいんだ!」

 宇宙から⁉

 だ…だから…こんな犬人間の姿なのか…⁉





 さらおののくオレを尻目に、


「ボクたちの宇宙船で、

 この星で一番、優しい人を検索したらアナタだったのッ!

 だから、アナタに色々なこの星の言葉を教えて欲しいの!」

 と、言い出した。




 いきなりの凄まじい話だったが、

 オレは、その話が激しく気に入った。


 その…『この星で一番、優しい人』という、

 激しい勘違いが、オレのツボに入ったのだ。



 オレは世間では、いわゆる『ガチホモ』のレッテルを張られている。

 プレイの相手を必要以上に【ホ】り倒し、未だに病院から出てこれねぇ奴も居る。

 そんなオレが、『優しい人』だからな!






「ああ…いいぜ…。

 立ち話も何だ。家の中に入れよ。」

 そう言って、オレは、二人を招く。


「やったー!」


「ありがとう、お兄さん!」

 大喜びの二人を、

 とりあえず居間に連れてソファーに座らせる。






「まず、お兄さんのお名前を教えて下さい!」

 つぶらな瞳で、ポメラニアンが聞いて来る。


「オレの名前は『喰宝妄太郎くうほうもうたろう』だ…。

 長げぇから、『ホモ』って呼んでくれ。」





 そう名乗った名前は本名だが、

 愛称は冗談のつもりで言ったオレに、


「『ホモ』さんですね!」


「『ホモ』さんだ! 『ホモ』さんだ!」

 こいつらは、たいそう喜んだ。





 そして、

「『ホモ』さん! 『ホモ』さん!

 ボクたちに、この星での名前を頂戴!」


「何かボクたちに名前を付けて下さい!」





 そういう二人に、


「そうだな、オマエが大和。」

 と、ポメラニアンに言い、


「オマエが撫子だ。」

 と、プードルに言ってやった。






「ワーイ! ボク、大和ですね!」


「ボク、撫子! ワーイ!」

 大喜びの二人を尻目に、オレは言った。





「ああ、二人そろって、大和撫子ってとこだ。

 敢えてそういうカップル名にした方が、

 インパクトが出て良いカップルになる。」

 と、オレが言うと、




「大和撫子って、なんですか?」

 と、大和が聞いて来て、


「それと、カップルって、な~に?」

 と、撫子が聞いて来るので、




「大和撫子ってのは、まあ、凄い良い奴って思えばいい。

 で、カップルってのは、大の仲良しの仲間って思えばいい。」

 そう言うオレに、



「わー! 良い言葉ですね!」


「撫子たち二人は、カップルで大和撫子なんだね!」

 と、二人は大喜びだ。





 そして、

「『ホモ』さんの好きな飲み物はなんですか?」

 と、大和が聞いて来た。




 オレの好きな飲み物は何か?だと?

 フッ…そんなものは決まってる!


「オレの好きな飲み物は『男の子みるく』だ。」




 そう告げたオレに、


「『男の子みるく』! わー! 『美味しそうな名前』!」

 そう撫子が大喜びし、


「大和たちも、『男の子みるく』、飲みたいです~!」

 と、大和も破顔はがんする。





「まあ、後で直ぐに、オマエたちにも飲ませてやるさ。」

 そうだな、コイツらにも、後で、たっぷり飲ませてやろう。







「じゃあ、じゃあ、

 『ホモ』さんの好きな食べ物は何ですか?」

 

「撫子も知りたい! 知りたい!」

 二人が興奮しながら聞いて来る。





「オレの好きな食べ物は、決まり切っている。

 『合法ショタ』だ。」




 そう告げたオレに、


「『合法ショタ』⁉」


「凄い! 美味しそう!

 撫子たちも、いつか『合法ショタ』を食べたいよぉ~!」

 大和も撫子も『合法ショタ』に思いを巡らせ、ヨダレをたらし始める。





「まあ、それも、いつか食べれるかもな。

 他に聞きたい言葉は何だ?」

 と、先を促すオレに、







「はい!

 じゃあ、感謝を表す言葉を教えて欲しいです!

 『ホモ』さん!」


「撫子も、それ、教えて欲しい!」

 そう、二人がオレを真っ直ぐに見つめる。





 感謝を表す言葉か。

 まあ、普通は『ありがとう』なんだろうが、

 それじゃ魂に響かねぇよな?

 魂に響くくらいの感謝の言葉ってやぁ…。




「それはな…、『ボクのカラダにゴールして』だ。」

 オレが微笑ほほえみながら、そう二人に伝えてやると、







「わぁ~! 良い響き~!」


「『ボクのカラダにゴールして』! 『ホモ』さん!

 『ボクのカラダにゴールして』!」


「大和も! 大和も! 『ホモ』さん!

 『ボクのカラダにゴールして』!」

 と、二人は、大喜びだ。







「次はね! 次はね!

 『ホモ』さんの好きなコンビニを教えて下さい!」


「うん! 撫子も聞きたい!

 教えて! 『ホモ』さん!」

 と、大和と撫子が、さらに訪ねて来る。




 オレの好きなコンビニか。

 やっぱ、よく行く気軽に食い物が食える場所って言ったら…。



「それはな……『ハッテン場』だ…。」

 オレのその回答に。




「うわ~!

 『ホモ』さんの好きなコンビニは『ハッテン場』なんですね!」



「『ホモ』さんは『ハッテン場』に良く行くんだね!

 撫子たちも今度、『ハッテン場』に行ってみたいよぉ~!」

 と、さらに新しい発見に大喜びのコイツら。









「じゃあ、じゃあ、

 『ホモ』さんは何色が好きですか?」


「撫子も聞きたい!

 『ホモ』さんの好きな色が、

 撫子も好きな色だったら良いなぁ!

 ねぇ、教えて! 『ホモ』さん!」

 と、オレの好みを聞くのが楽しいと言わんばかりの笑顔でコイツらが聞いて来る。




「好きな色?

 そんなもの決まってる…。

 『白濁色はくだくいろ』だ!」

 と、オレが”ふぇいばりっとから~”を答えると、




「『白濁色はくだくいろ』!

 『ホモ』さんらしい色だね!」


「とっても、『ホモ』さんに似合う良い色だと思います!

 『白濁色はくだくいろ』!」

 と、ニコニコ顔で答えるコイツら。








「『ホモ』さん! 次はね! 次はね!」


「『ホモ』さんの、良く見るTVを教えて欲しいです!」

 と、オレの普段、視聴する映像が、とても気になる様子だ。




 しかし、オレの良く見るTVと言えば…。


「それも決まっている!

 オレが良く見るTVは…『ゲイビデオ』だ…ッ‼」

 と、オレが宣言すると、





「わ~! 『ホモ』さん!

 大和も『ゲイビデオ』見たいです!」


「撫子も『ゲイビデオ』見たいよ!

 『ホモ』さんが『ゲイビデオ』を見る時、良かったら声を掛けてよ!」

 と、二人とも、ウキウキした様な顔でオレに告げて来る。





「ああ、今度見る時、

 オマエらにも一緒に見させてやるよ!」

 オレも破顔はがんして言うと、




「わ~い! 『ゲイビデオ』!

 『ボクのカラダにゴールして』! 『ホモ』さん!」



「撫子も!

 『ボクのカラダにゴールして』!

 『ホモ』さん! 『ゲイビデオ』! 『ゲイビデオ』!」

 と、大はしゃぎの大和と撫子。







「じゃあ、じゃあ!

 『ホモ』さんの好きな遊びはなんですか?」



「撫子も知りたい!

 『ホモ』さんは、どんな遊びが好きなの?」

 と、オレの好きな遊びを聞いて来る。





 フッ……オレの好きな遊び…オレの好きなプレイなんて決まってる!



「オレの好きな遊びは…『チカンプレイ』だ!」

 自信満々に豪語するオレに、





「『チカンプレイ』が好きなんですね!

 『ホモ』さん! 大和も、今度、

 『ホモ』さんと、『チカンプレイ』が、やりたいです!」



「撫子も! 撫子も!

 撫子も、みんなと一緒に、

 「チカンプレイ」が、やってみたいよぉ!」

 と、懇願こんがんするコイツら。





「ああ、今度、みんなでチカンプレイしような!

 それで、オマエらが疲れてノドがかわいたら

 『男の子みるく』を飲ませてやるよ!」

 と、気前良く宣言するオレ。



「わ~い!

 みんなで『チカンプレイ』が出来て

 『男の子みるく』も飲めるんですね!」



「『ボクのカラダにゴールして』! 『ホモ』さん!

 『チカンプレイ』ができて、『男の子みるく』も飲ませて貰えるなんて!

 『ボクのカラダにゴールして』!」

 コイツらのあふれる喜びに、オレも嬉しくなって来る。







 と、そこで、大和と撫子のズボンの中から、

 一斉に音が鳴り始め、

 二人は、揃って、スマホの様なモノの画面を見た。



「こ……これ…⁉」



「え…えぇぇぇ…⁉」

 と、大和と撫子が、

 大声で仰天ぎょうてんす。





「どうした?

 何か、困る様なニュースでも、流れて来たのか?」

 と、問うオレに、




「あ…あ~…。その…。」

 と、もじもじと撫子が両手を合わせ、



「ほ…『ホモ』さんが…『この星で、一番、優しい人』だって…

 うちの宇宙船が検索してくれたって…言いましたよね…?」

 と、大和も、もじもじし出し、




「その…それがですね…

 宇宙船のコンピューターの誤作動で…。」



「『この星で、一番、優しい人』じゃなくて…

 『この星で、一番、”やらしい人”』を探してしまってて…。

 その人が…『ホモ』さんだったみたいで…。」

 と、その犬顔を真っ赤に赤らめつつ、





「「ご…ごめんなさい…失礼しましたーーーッッ‼」」

 と、大和と撫子は、大急ぎでオレの家から出て、

 さっきから言っていた宇宙船であろう謎の飛行物体に乗って、

 一目散に去って行った……。







 後には、

 『この星で、一番、”やらしい人”』らしい、オレだけが、

 ポツんと残された…。

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