5話「告白」
その日から私はどんどん神田くんのことを好きになっていった。
気づけば神田くんのことを目で追っている。
席は隣なので毎日学校へ行くのが楽しみだった。
私は、神田くんに告白しよう。そう思った。
だが、その時涙が出た。
この涙は、断られるからなのか、まだ早いのかは分からないが諦めることにした。
しかし、次の日の6限目の授業中。
先生が黒板の方を向いているとき、神田くんから小さな手紙が送られてきた。
宛名は私だった。
隣を見ても神田くんはこっちを見ていない。
とりあえず私は手紙を開いた。
そこには、
『今日の放課後皆が帰るまで教室にいてほしい』
と、書いてあった。
私はいらない紙に
『分かった』
と書いて神田くんの机に置いた。
そのあと隣を見ると少し微笑んでいるように見えた。
放課後、
「由美、帰ろう」
いつも通り、雪菜と静香が私を迎えに来た。
「ごめん、今日ちょっと用事あって。だから先に帰ってて」
「そうなの?分かった。じゃあまた明日ね」
神田くんのことを言おうと思ったが何の話か分からなかったので言わなかった。
私はみんながいなくなり、神田くんが来るのを待った。
少しして慌てた様子で走って教室に入ってきた。
「良かった、まだいた」
「いるよ、だからそんなに慌ててこなくてもよかったのに」
「いや、自分が待っててッて言ったのに遅くなっちゃったから」
「そっか。それで神田くん話って?」
神田くんはすぐには言わず、深呼吸をした。
「あのさ、俺ずっと前から松永のこと好きだったんだ。それでもし良かったら俺と付き合ってもらえませんか?」
私は驚いた。
昨日私が神田くんに言おうと思っていた言葉を彼が言ったからだ。
だから昨日涙が出たんだ。そう思った。
そして、もちろん私の返事は
「私も前から神田くんの事が好きだったの。だから私で良ければよろしくお願いします」
「え!本当に!?」
神田くんはとても驚いていた。それと同時にガッツポーズをしていた。
「よっしゃ!」
私はこの時能力のことを言ってしまおうか、そう悩んだが、まだいいかと思いやめた。
「今日からよろしくね、神田くん」
私は家に帰り、雪菜と静香に報告した。
2人とも驚いていたが祝福してくれた。
「今日の用事ってそういうことだったんだね」
「うん。まだ何言われるか分からなかったから2人には言わなかったの」
「そうなんだね。でもおめでとう!やっとだね」
「やっとってどういうこと?」
「だってずっと好きだったんでしょ?」
「え!何で分かったの!?」
「うちら何年の付き合いだと思ってんの?由美を見てたらすぐ分かるよ」
「2人には敵わないね(笑)」
「とにかくおめでとう、仲良くね」
「うん、2人ともありがとう!」