4話「好きな人」
今は3限目。私が好きな国語の時間だ。
今は、提出用のプリントに取り組む時間。
だけど、私は全然集中出来ていなかった。
あとちょっとで3限目が終わるという時、急に体調が悪くなってきたのだ。
もう少しで終わるからそうしたら保健室に行こうと思っていたのだが、我慢出来るか分からなかった。
でも、教室が静かな時に先生を呼ぶことには少し勇気がいる。
その時、隣の席の神田隼人くんが、
「先生」
と、先生を呼んだ。私は質問があったんだろうな。それが終わったら先生に言おう。そう思った。
しかし、神田君は
「松永さん、少し体調が優れないみたいです」
と、私のことを言ったのだ。
「あら、そうなの?確かに少し顔色が悪いわね。保健室行く?」
「はい、行きます。」
私はそう先生に言って保健室に行こうとした時、
「俺、もうプリント終わったのでついていきます。一人じゃちょっと心配なので」
そう言った。先生もそう思ったのか
「そう?じゃあお願いしてもいいかな?先生も授業終わったら行くわね」
私は神田くんと一緒に保健室へ向かった。
神田くんは私の歩くスピードに合わせながら、倒れても大丈夫なようにか、支えてくれた。
保健室に着いた後も、授業中のいつ頃から体調が悪そうだったかを先生に伝えてくれた。
授業が終わり、
「松永さん、体調どう?」
と、担任の先生が様子を見に来た。
「少ししんどいです。」
「熱が少しあるので帰らせた方がいいかもしれません」
「じゃあ、お家の人に連絡してくるから待ってて」
「はい、お願いします」
「じゃあ、俺松永の鞄取ってきます」
神田くんはそう言って保健室を出て行った。
保健室の先生は、
「神田くん、優しいね。男の子ってあまりこういうことしなさそうなのに。」
「神田くん、私の体調のこと一番に気づいてくれたんです。」
「そうなのね、だからあんなに詳しかったんだ」
しばらくして、神田くんが私の鞄を持ってきてくれた。
「これだけで大丈夫か?」
「うん、ありがとう」
「しっかり休んで元気になれよ」
そう言って行ってしまった。
私はこの時単純だと思うかもしれないが、神田くんのことが好きになった。