3話「私の秘密を知った訳」
「由美おはよー!」
「雪菜、静香おはよー!」
この2人、宮下雪菜と倉田静香は小学生からの付き合い。
この2人は私の能力のことを知っている。
打ち明けたのは、私が能力のことに気が付いた運動会の時だ。
でもその時はまだ2人とも信じてはくれなかった。
ただ、運がよかったんだよ。それだけだった。
2人が信じてくれたのは、ある事件がきっかけだった。
その事件とは、私たちが小学6年生の時に起こった少女誘拐事件。
私たちはその日、駄菓子屋に行く約束をしていた。
私たちはいつも通りの道を通って行こうとしていた。
しかし、その道から行こうとしたとき涙が出た。
「ねえ、今日はこっちから行かない?」
「え?何で?こっちのほうが近いじゃん」
私はまだ能力のことを信じていない2人に涙が出たから。といっても信じてくれなさそうだったので、
「最近さ、誘拐事件とかあるじゃん?こっちだとちょっと人通り少ないし、お母さんに人通り多い所を通りなさいって言われてるんだよね」
「確かに最近あるね。うちのお母さんもそんなこと言ってた。」
「まあ、時間もたくさんあるしいっか。こっちから行こう」
そういって私たちは別の道から行くことにしたのだ。
私たちは無事、駄菓子屋に着き、お菓子を選んでいた時だった。
駄菓子屋のおばちゃんが電話に出たと思ったら、私たちの方に駆け寄ってきて、
「今ね、そこの道でまた誘拐事件があったんだって。でも、幸いパトロールしてたおまわりさんがいて、その子は大丈夫だったんだって。犯人捕まったそうだから安心ね。」
おばちゃんが言ったそこの道とは、私たちが通ろうとしていた道のことだった。
「あの時由美が別の道から行こうって言ってくれていなかったら、私たちの誰かが誘拐されていたんだね・・・。」
「あのね、2人とも。これも涙が出たからなんだ。だからあの時、別の道から行こうって言ったんだよ」
「じゃあ、この間言ってたことって本当なんだ。」
「うん、これで信じてもらえた?」
「うん。信じるよ!」
そこで、私の能力をやっと信じてくれたのだった。
でも、私は2人に、
「でもこのことは他の人に言わないでほしいんだ。」
と、お願いした。
「え、何で?だってこれってすごい事じゃん!」
「そうなんだけどね、私もこの能力のことをちゃんと分かっているわけじゃないし、私は他の子とは違う、特別なんだっていう目で見られたくないの。皆と平等に接してほしいんだよね。」
「分かった。由美がそういうなら3人だけの秘密にしよう!」
「ありがとう」
今は小学生だし、他の人に言っても信じてもらえないかもしれない。でも大きくなったらこの能力を悪用しようって思う人や、もしかしたら私は変な子だって思われていじめられるかもしれない。そうなったら嫌だ。と思ったので3人だけの秘密にしてもらったのだ。
でも、もしこの先好きな人が出来たらその人には正直に話そうと思った。