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2話「能力に気付いた日」
私がこの能力に気がついたのは、
小学6年生の運動会の時だった。
借り物競争に出た時、1着で封筒が置いてある所に着いた。
ひとつの封筒を手にしようとした時、涙が出た。
私はびっくりして、涙を拭いその隣のものを取った。
内容は【めがね】
すぐそこに校長先生がいた。校長先生は目が悪いため眼鏡をかけていた。
「校長先生!めがね貸してください!」
私は校長先生に眼鏡を借り、1着でゴールへ。
後ろを振り返ると、まだ皆探している。
私が元々取ろうとしていた封筒を持っていたのは、隣のクラスの子だった。
その子は最下位になってしまった。
「お題何だったの?」
私は気になってその子に聞いた。
「はさみ」
ハサミを持っている人は、なかなかいない。
結局その子は、ゴールとは反対側の救護室にいた保健の先生に借りたそうだ。
もし、私がその封筒を取っていたら1位にはなれなかった。
私はこの時、涙が出たお陰だなと思った。
それから、違うことをしようとすると涙が出るということに改めて気づいたのだった。