最終話「能力が消えた日」
私は必死に勉強をした。
次の日休みの時は電話をしたり、長期休みの時は帰って会いに行ったり、励まされながら頑張った。
そして、3年後…。
「今日だっけ?」
「うん」
去年、卒業し、地元に帰ってきた私は隼人と同棲を始めた。
そして、今日は研修期間を終え、初めての仕事。
そう、結婚式だ。
「頑張れよ」
「ありがとう、じゃあ行ってくるね」
とても緊張したが、新婦新郎共に喜んでくれた。
とてもいい結婚式だった。
片付けをしている時だった。
~♪
突然音楽が流れ出したのだ。
「え?どうしたんですかね?」
「ね?誰か触ったのかな?ちょっと見てくるね」
と、先輩が見に行った。
とりあえず私は先輩が戻ってくるまで片付けを進めていることにした。
すると、そこで片付けをしていた先輩達が急に踊り出した。
「え!?」
私は訳もわからずただ立って見ていた。
すると、皆踊り出すのだ。
もしかして…
私はこの光景に見覚えがあった。
よく、ネットなどで見ていたものがあった。
そう、フラッシュモブだ。
でも、自分にされるはずがないので、練習なのかな?と思っていた。のだが、
「え!何でここにいるの!?」
私の前に現れたのは家にいるはずの隼人だった。
ダンスが終わり、隼人が近づいてくる。
「由美、僕と結婚してください」
差し出されたのは、指輪だった。
勿論、返事は…
「はい」
私は嬉しくて涙が止まらなかった。
まさか、今日ここでプロポーズをされるとも思っていないし、フラッシュモブを自分にされているとも思わなかった。
「由美ちゃん、おめでとう!幸せになってね」
「先輩、ありがとうございます!」
その日からだった。
「隼人、あのね能力なくなったみたい」
「え?何で?」
「分かんない。全然涙出ないの」
「良かったーのか?」
「うん。もう幸せになったからかな?これ以上の幸せはないもん。きっと神様がもういらないねって貰っていったんだよ」
「そうだったらいいな」
この先、大変なことが幾つもあるかもしれないけど、頑張っていこうと決めた。
〜END〜